高知大学と老舗酒蔵である司牡丹酒造は、共同研究により開発した新しい日本酒「幸先~SAISAKI~」を2025年11月18日(火)から販売開始しました。この日本酒は、世界で初めて報告された独自の分析技術「MFS-IC」を駆使して生み出されたものであり、科学的アプローチと伝統的な酒造技術が融合した、産学連携の新たな成功事例として注目を集めています。
世界初の分析技術が切り拓く日本酒造りの新境地
今回の商品開発における最大の原動力となったのは、高知大学総合科学系複合領域科学部門の小﨑大輔准教授が司牡丹酒造と共同で開発した、世界初の分析手法「MFS-IC」です。この技術は、日本酒の味わいを決定づける主要な要素である「糖」「有機酸」「アルコール」を、同時に分析することを可能にします。
「MFS-IC」の確立により、研究開発に着手してから初年度という異例の短期間で目指した方向性の日本酒「幸先~SAISAKI~」の完成へと結びつきました。
科学と伝統の結晶「幸先~SAISAKI~」の魅力
2025年11月18日(火)から出荷が開始された「幸先~SAISAKI~」は、アルコール度数を9度以上10度未満に抑えた、軽快な飲み口が特徴の「低アル薄にごりスパークリング純米吟醸酒」です。「瓶内二次発酵」という製法を採用しています。
商品は290mlの飲み切りやすいサイズで、価格は1,073円(税抜)。製造数量は約2,000本のみの限定生産となり、高知県内の酒店をはじめ、全国の「日本名門酒会」に加盟する地酒専門酒販店で販売されます。
醸造業の未来を照らすデータベース「TOSA」構想
この共同研究の成果は、一つの商品の誕生に留まりません。小﨑准教授は、今回の成功を足がかりに、さらなる研究の発展を見据えています。今後は「MFS-IC」の技術を応用し、これまで活用されてこなかった高知県内に自生する多様な「未利用酵母」の特性を網羅的に解明していく計画です。
最終的な目標として、これらの酵母の特性や醸造データを集約した、醸造支援クラウドデータベース「TOSA」の構築を掲げています。


