【酒場カレー放浪記】中華×カレーの出会い。神田カレーグランプリ決定戦で準優勝を果たした「BAR 三月の水」のカレーが絶品だった！

スパイシーなカレーって時々食べたくなりませんか？実はカレーとお酒ってとても相性が良いんです。ただ、「美味しいカレーが食べられる店」となると、閉店時間がはやかったり、提供しているお酒の種類が少なかったり、両方を一緒に楽しめる店を探すのが大変なイメージも。

そこで、夜に美味しいカレーを食べられて、さらにお酒まで楽しむことができるバーやカレー専門店を、実際に編集部が訪問してご紹介していきます。今回は神保町駅から徒歩3分、御茶ノ水駅からも徒歩8分の「BAR CAFE 三月の水」へ、nomooo編集部の杉山と、カレー探検家のいよちゃんで行ってきました。

2022年11月に開催された、第10回神田カレーグランプリ決定戦で準優勝を果たしたカレーも楽しみです！

ライタープロフィール

カレー探検家いよちゃん

スタジオも併設しているバーでいただく、自家製ソーセージ

いよ：こんにちは～、あれこのドアの感じ......。

いよ：やっぱり、スタジオ…？

林さん：こんにちは。BAR CAFE三月の水へようこそ、店長の林と申します。

いよ：入ってすぐ目の前にスタジオがあったので間違った扉に入ってしまったかと思いました（笑）

林さん：実はこの店、レコード会社Natural Hi-Tech Records の事務所とスタジオのロビーだったんです。CDからサブスク配信に移行してきて、前職の老舗中国料理店店長の知識を生かしてBARをひらくのはどうか、ということで2016年にオープンしたんですよ。

いよ：バーにスタジオが併設されているのか、スタジオにバーが併設されているのかわからないような（笑）だからどこかアーティスティックな雰囲気が漂っているのですね。

林さん：内装のデザインはdownyという大好きなバンドのボーカル青木ロビンさんがしています。そしてこの壁の絵、うちのレーベルでリリースしているWUJA BIN BINのリーダー、ベース、今は漫画家でもある元ビートクルセーダーズのケイタイモ氏が、歴代ミュージシャンの顔を描いてくれました。5人、誰だか当てられたら、ビールの飲み比べセットをプレゼントしていますよ。

いよ：メニューにも書いてありましたね、ただミュージシャンに詳しくないので難問です…。そしてなんだか喉が渇いてきました、とりあえずビールをいただいてもよろしいでしょうか？

林さん：かしこまりました、ビールを飲むなら熟成ソーセージがおすすめですよ。出てくるまで少しお時間をいただきますので、ビールを飲みながらお待ちください。

いよ：ソーセージ食べたいです！ではハートランドをいただきながら待ってます！

いよ：音楽とアートとお酒とカレー、素敵な空間だなあ…。

林さん：お待たせいたしました、熟成ソーセージです。

いよ：ムッチムチの美味しそうなソーセージ！

いよ：滴る脂に食欲をそそるハーブの香り…もしかして自家製だったりしますか？

林さん：おっしゃる通りで、何種類ものスパイスハーブをブレンドして、熟成豚を挽いてソーセージを作っています。

いよ：フォークが刺さらないほど柔らかいみっちり詰まった熟成肉。むぎゅっとした弾力プチっとした肉片噛み締めるたびに旨味が口に広がります。

いよ：そして肉！って感じのしっかりとした味がするんですが、バジルなどのハーブが入っていること味わいがとっても上品、強すぎず弱すぎないスパイスの効かせ方、さすが2022年の神田カレーグランプリ決定戦準優勝店舗！

いよ：塩気と脂がしっかりしたソーセージにきゅーっとハートランドを流し込む、至福です。

林さん：お酒に合うように作っているので嬉しいです、ありがとうございます。

老舗の中国料理元店長が作る！神田カレーグランプリ決定戦準優勝のカレー

いよ：そういえば、メニューを見たら「ちまき」や「ルーローハン」、「中華まん」に「角煮」などの中華っぽいメニューもあるなと思ったのですが、中華料理が好きとか…？

林さん：そうですね、ではひとつヒントを。このお店の下、何屋さんかわかりますか？

いよ：中華屋さんですよね、老舗の「中華名菜　漢陽楼」…もしかして。

林さん：実は、実家が中国の周恩来元首相も16歳の時に来ていた、あの老舗の中国料理店「漢陽楼」なんです。20年前まで店長をやっていて、今もこういったメニューもお出ししています。

いよ：そうだったんですね、料理のクオリティが高く感動していたので納得です、美味しすぎます（笑）そう言われると中華系の料理も気になりますね、カレーを食べたいと思って来たのですが…。

林さん：では「無水ココナッツ豚バラ角煮カレー」なんていかがでしょうか？

いよ：神田カレーグランプリで決定戦で準優勝を果たしたカレーですよね、中華と何か関係…あれ、もしかして？

林さん：実はこのカレーに入っている豚バラ、うちの特製ルーローハンで使っている角煮なんです。

いよ：ただのココナッツカレーではなかった！ココナッツカレーに角煮の組み合わせは今まで見たことがありません、中華もカレーも楽しめる夢のような逸品ですね。

林さん：こちらの「無水ココナッツシーフードクリーミータマゴカレー」も、実家でランチで出していた中華の挽肉茄子炒めにフワフワになるよう卵を入れたメニューというところから発想を得たカレーなんです。

いよ：どちらも気になります。ハーフサイズで2種類、そして中華にちなんで青島ビールもいただきたいです！

無水ココナッツ豚バラ角煮カレー

林さん：お待たせしました、まずは無水ココナッツ豚バラ角煮カレーと、青島ビールでございます。

いよ：着皿した時から確かにふわっと八角の華やかないい香り

いよ：甘辛くしっかり味がしみた柔らかい豚バラは、濃厚なカレーの中でも存在感がとてもありますね、でもカレーとよく馴染んで別々になっていない、絶妙なバランス…！

林さん：ベースのココナッツカレーは、中国家具の輸入の仕事をしていた時にベトナムのホーチミンで食べたカレーを再現しています。

前にベトナムへ行った時、どうしてもカレーが食べたくなりお店を探していたのですが、カレーを出しているところがなく。やっと見つけたREX HOTELのレストラン食べたカレーが非常に美味しくて、ずっと舌の記憶に残ってたんです。

いよ：このかすかな甘さと、ルーローの醤油の甘辛い味が素敵に合わさっていますね！甘みがあると言っても八角の香りで後味にキレが出て、くどくならないのがまた心地良いです。

いよ：ココナッツが濃厚でほんのりと甘みがある、中華っぽいボリューム感のあるカレーに、さっぱりとした青島ビール。カレーとビールの無限ループになってしまいそうです…。

林さん：もしよろしければ、このあとタマゴカレーと一緒に、カレーと同じ色のいよちゃんに合わせたオリジナルカクテル、なんていかがでしょうか？

いよ：タマゴカレーといよに合わせた黄色のカクテル、ぜひお願いします！

バーならではのオリジナルカクテル

林さん：無水ココナッツシーフードクリーミータマゴカレー、そしてオリジナルのイエローカクテル、お待たせいたしました。

いよ：ほんのりとした黄色がすごくかわいいです！ではまず作っていただいたカクテルを。

いよ：フワッと甘い香り、ここにも八角かな、柑橘っぽい苦味もありつつ、とろりと口に残る甘さ。まろやかな卵カレーに味の複雑さを与えてくれます。アジアな雰囲気がありつつもポップな感じです、これが私のイメージ…。

林さん：おっしゃる通り、八角を最後に振ってみました。アマレットリキュールをベースに、グレープフルーツジュース、トニックウォーターなど。カレー探検家っぽい元気な雰囲気と、見た目も中身も甘くフレッシュな感じを表現しました。

いよ：こうやって自分をイメージしたオリジナルカクテルを作ってもらえるの、とても嬉しいし楽しいですね。バーならではのサービスな気がします！

無水ココナッツシーフードクリーミータマゴカレー

いよ：それではカレーのほうもいただきます！

いよ：タマゴカレーの下に大ぶりのホタテ、半透明のえびが見えます。これは別調理なんですね！

林さん：色んな部分で中華の調理法を生かしているんです。シーフードは火入が命なので、カレーで煮込みすぎてしまうともったいない気がしまして。

いよ：んん～えびがぷりっぷりでホタテはフワッフワ！とろける食感の卵カレー。口の中が食感のカーニバルになってます（笑）そしてこのカレー、とても卵の味が濃いです！茶碗蒸しを食べているのかってくらい。

いよ：タイ料理にも卵とココナッツとシーフードの炒めカレー、プーパッポン、プーニムパッポンカレーがありますが、ココナッツとハーブがとても強くて。卵の食感は楽しめるけど、味まで卵を感じられるものって多くないんですよね。卵の味を引き立たせるカレーの効かせ方、素材の味わいを引き立てる調理技術。林さんの料理経験と姿勢の賜物ですね。

ビックコミックオリジナルの新連載「カレーマン」にも登場した「三月の水」

ランチではテーブル席がメインで、4名以上でもゆっくり楽しめる空間。

バータイムでは、パブのようなカウンター席にも座れるとのことです。

お酒の種類も豊富でなので1軒目としても、2軒目としてもピッタリです。

いよ：そうだ、神田カレーグランプリ2022決定戦、準優勝おめでとうございました！

林さん：どうもありがとうございます。約1,500食も「無水ココナッツ豚バラ角煮カレー」が食べられたと考えると感慨深いです。大変な仕込みを手伝ってくれた妻やスタッフへの感謝の気持ちを忘れずに、これからももっと美味しいカレーが作れるよう、精進します。

いよ：そういえば豚バラ角煮カレーのところに書いてある「カレーマン」ってもしかしてそこにある雑誌の…？

林さん： ビッグコミックオリジナルでの連載、神保町を舞台としたカレー漫画「カレーマン」の記念すべき第1話にとりあげていただきました。

いよ：この「カレーマン」の主人公の神谷正人さん、神保町名店中華屋の息子でカレーに取り憑かれているシェフという設定…まるで林さんのようです…。本日はどうもありがとうございました！中華のメニューもぜひ食べたかったのですが結構お腹がいっぱいで（笑）、またぜひ食べに来ますのでどうぞよろしくお願いいたします！

林さん：こちらこそ、またお待ちしております！

明るく優しい店長と話しながら、お酒を飲んでカレーを楽しむ。御茶ノ水や神保町に立ち寄った際に、そんな素敵な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか？

店舗詳細