今回は、日本酒の味わいを表す数値の1つである日本酒度について解説します。
この記事を読んで日本酒度への理解を深めることで、お気に入りの日本酒を見つけるチャンスが大きく広がること間違いなし!
日本酒度の注意点など詳しく解説するほか、そのほかの「酸度」「アミノ酸度」についても説明するので、知識を深めて日本酒をより楽しみましょう。
日本酒度とは
日本酒度とは日本酒の味わいを数値化したもので、日本酒の甘さや辛さを示す指標です。
具体的には0を基準に、7区分に分かれており、+6以上が大辛口、+5.9~+3.5が辛口、+3.4~+1がやや辛口、+1.4~-1.4が普通、-1.5~-3.4がやや甘口、-3.5~-5.9が甘口、-6.0以下が大甘口となっています。
つまり、一般的にマイナスになるほど甘口、プラスになるほど辛口とされています。
ちなみに、測定は容器に対象の日本酒を入れ日本酒度計か計算式によって測定。日本酒度計は浮かんだ分だけマイナス、沈んだ分だけプラスとなります。
日本酒度は、原材料やアルコール度数と共にラベルに記載されている場合もあるのでぜひチェックしてみてください。
日本酒度は何によって変化するのか
日本酒度は、4℃の水を基準にその日本酒の15℃との比重で考えられており、大きく糖分とアルコール度数の2つの要素によって数値が決定。
それぞれの温度については水は4℃が最も重く、日本酒の15℃は日本の室内の平均気温と言われています。
糖分を多く含んだ日本酒は水よりも重いため、水基準で考えるとマイナス値になり、一方で糖分が少ない日本酒は水よりも軽いためプラス値になります。
アルコールは水よりも軽いために、アルコールを多く含んでいる日本酒の日本酒度は高くなるのです。
日本酒度は日本酒の大まかなテイストを知る指標になりますが、日本酒の甘さや辛さ旨味やコクなどの目安になるのは日本酒度の他にも「酸度」や「アミノ酸度」というものがあります。
酸度とは
酸度とは、日本酒度と同様に日本酒の味わいを数値化したもので、日本酒に含有されるコハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸などの酸の量を表したものです。
一般的に酸といえば多ければ酸っぱくなると思いがちですが、日本酒においては酸はお酒のキレを生み出すので、酸度によって甘さ、辛さを知ることができます。
一般的に酸度が高ければ辛口に感じますが、紹介の通り酸にも多くの種類があるので酸度もそれだけでは甘さ・辛さを決定付けることはできません。そのため、購入の際は目安程度に考えてください。
アミノ酸度とは
アミノ酸度とは、日本酒に含まれるアミノ酸の量を示したものであり、一般的にアミノ酸の高い日本酒は甘口で低い日本酒は辛口と言われています。
アミノ酸自体の種類は約20種類あり、アミノ酸も酸味を含んではいますが、旨味や甘み・苦味も持っているため酸度には含まれていません。
また、紹介した通りアミノ酸には多くの種類と味わいがあるので、数値が高すぎると複雑な味になり過ぎてしまうとも言われています。
こちらも日本酒度と酸度同様に参考程度に活用してください。
日本酒度だけでテイストは決まらない
日本酒の味わいを数値化したものが日本酒度と紹介しましたが、実は日本酒度だけではテイストを決めつけることはできません。
なぜなら味覚は人それぞれであることや、また日本酒の味わいを決める要因は、日本酒度だけでなく酸度、アミノ酸度と様々であるからです。
また、市場に出回っている日本酒の多くは、加水と添加アルコールを製造過程で行います。
加水と添加アルコールについてそれぞれ解説しますが、そもそも日本酒度とは水よりもそのお酒がどれくらい重いのかを示す数値であり「アルコールは水よりも重いので、アルコール度数が高ければ数値が低くなる」「糖分が多く含まれているほど数値は高くなる」という2点を思い出しながら読んでみてください。
加水
加水とは、その字の如く瓶詰め前の日本酒に水を加え、テイストやアルコール度数を調節することです。
水を加えるということは重みが増えるということなので、日本酒度数は低くなります。
一方で水を加えないものを「純米」や「原酒」と呼びますが、同じ日本酒度でも加水されたものと原酒ではアルコール度数が異なるため、加水されたものの方が飲みやすいと感じる人が多いでしょう。
添加アルコール
添加アルコールは、瓶詰め前の日本酒にアルコールを加えること。アルコールを加えるということは全体として水よりも軽くなるので、日本酒度は高くなります。
こちらは同じ日本酒度の「純米」や「原酒」と比べると少しアルコールがきついかなと感じる方が多いと思います。
つまり、同じ日本酒度でもその製造方法によって味わいが異なります。
ある程度の指標になる「甘辛度」
日本酒度と酸度を組み合わせて算出する「甘辛度」という指標によって、甘さと辛さを知ることができます。
ここでいう辛さとは唐辛子のような辛さではなくアルコールの刺激感、甘口とは砂糖の甘さではなくまろやかで丸みが多い状態。
算出式は(193593/(1443+日本酒度))-1.16×酸度-132.57で、数値が高いほど甘口となります。
甘辛度についてはお酒のラベルに必ず記載されているデータではないので、自分で計算する必要があります。
あくまで日本酒度や酸度はあくまで参考数値であり、同じ数値だからと言って同じ味わいではないことが多いと紹介してきました。甘辛度においても、複雑な日本酒度と酸度を組み合わせて算出した数値なので、こちらも参考値程度で活用してみましょう。
様々な銘柄と日本酒度
以下では、人気の銘柄の日本酒度を紹介します。
好きな銘柄があればその日本酒度と違うものやあえて反対のものを選んでみても新たな発見があるかもしれません。
日本酒度が低いものから順に紹介します。
日本酒度マイナスの銘柄ついては「初心者にもおすすめ!人気の甘口日本酒ランキングTop15【専門家監修】 」で詳しく解説しています。
また、辛口の日本酒については「安い・旨い!人気の“辛口”日本酒おすすめランキング15選【専門家厳選】」で詳しく解説しています。
ここで解説する日本酒よりさらに度数の幅を広げて解説していますので、気になった方はぜひ読んでみてくださいね。
奥能登の白菊 純米吟醸(石川)
日本酒度 -4
鳳陽 純米吟醸酒(宮城)
日本酒度+-0
くどき上手 純米吟醸(山形)
日本酒度+1
獺祭 純米大吟醸 45(山口)
日本酒度+3
天明 槽しぼり 純米火入(福島)
日本酒度+3
酔鯨 特別純米酒(高知)
日本酒度+6
春鹿 超辛口 純米酒(奈良)
日本酒度+12
まとめ
日本酒度は好みのお酒を探す際に便利な指標の1つですが、日本酒のテイストは様々な要因が複雑に絡み合って作られるため、あくまで参考程度にしておくのが良いでしょう。
もし日本酒を探す際は、日本酒度に幅を持たせて探すのがおすすめです。
また、酸度やアミノ酸度といったほかの指標と組み合わせることで良い日本酒と出会えるチャンスが広がるかもしれません。数値にこだわりすぎず、いろいろな日本酒を楽しんでくださいね!