ワインショップなどでワインを見ていると「特級」「一級」といった、格付けされたワインが並んでいることがあります。このような格付けには、一体どのような意味が込められているのでしょうか?
様々なワインがある中で、今回はフランスワインの格付けの基準や制定の背景などを解説していきます。
ワインの格付けとは?
ワイン法が定めた品質基準
ワインの格付けは、国や地域ごとに定められたワイン法に基づいて行われています。その等級が高ければ高いほど、高品質なワインであることを示しています。
では、なぜこのような格付けがされることとなったのでしょうか?その答えは、格付け基準を定める「ワイン法」が制定されたという背景にあります。
ワイン法制定の背景とは
ワイン法が制定された1930年代、ヨーロッパでは度重なる悪天候と経済不況の影響を受け、ワイン産業は大きな打撃を受けていました。
そのような状況の中、「モロッコで造られたボルドーワイン」や粗悪な偽物ワインなどが出回るようになってしまったのです。
そこで、これらの粗悪品を排除し、本物の品質を守ろうという動きが起こり、ワイン法が制定されることとなりました。
このようにワイン法やワインの格付けというのは、ワインの品質を維持するために定められたというわけです。
フランス・ボルドー地方の格付け
フランスでは、地方・地区ごとにワインの格付けの基準は異なります。
フランスのボルドー地方では、シャトー(造り手)ごとに格付けがされています。
メドック地区の格付け
フランスの一大銘醸地であるボルドー地方のメドック地区では、パリ万博の開催にちなんで、ナポレオン3世の命令により1855年に公式格付けが制定されました。そのとき、約60のシャトーが第1級から第5級まで格付けされることになります。
この格付けは、制定のときから150年以上もの間、2度の改定を除き、変わることがありませんでした。
現在第1級に格付けされているシャトーは5つあり、この5つを総称して「5大シャトー」と呼びます。
また、第1級から第5級まで格付けされたシャトーのことを「クリュ・クラッセ」と呼び、その下に「クリュ・ブルジョワ」、「クリュ・アルティザン」と続きます。
サンテミリオン地区の格付け
メドック地区の格付けがほぼ不動であることに対し、同じボルドー地方でもサンテミリオン地区の格付けは、10年に一度見直されています。
一番上から順に、「第一特別級A」「第一特別級B」「特別級」「特級」という名称で格付けがされています。
フランス・ブルゴーニュ地方の格付
畑ごとに格付けされる
ボルドー地方がシャトー(造り手)ごとに格付けされるのに対し、ブルゴーニュ地方の場合は畑ごとに格付けされています。
最も格の高い畑が「特級(グラン・クリュ)」、その次に「第1級(プルミエ・クリュ)」と続きます。
その下には、同じ村でとれたブドウを使って造られたワインを意味する「村名ワイン(AOCコミュナル)」があります。これを名乗る場合、他の村でとれたブドウを使用することはできません。
なお、上記のどれにも該当せずブルゴーニュ地方全域で造られるワインは、「一般広域名ワイン(AOCブルゴーニュ)」と呼ばれます。
ボージョレ地区とマコネ地区
ブルゴーニュ地方でも、例外的にボージョレ地区とマコネ地区には畑への格付けがありません。
ただし、ボージョレ地区の場合、格が高いものから「クリュ・ボージョレ」、「ボージョレ・ヴィラージュ」、「ボージョレ・シュペリユール」、「ボージョレ」という独自の格付け呼称があります。
まとめ
ワインの品質や産地を守るために生まれたワインの格付け。私たち消費者にとっても、ワイン選びのひとつの目安になります。
一般的に、格付けが高いほど値段も効果になります。その分ありがたみは感じられますが、だからといって必ずしもそのワインが美味しいとは限りません…。
格付けだけで選ぶのではなく、色々な人の評判や評価、お店の人の意見などを参考にしながら選ぶといいかもしれませんね。
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