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禁断の酒!?魔性のハーブ酒「アブサン」の魅力・美味しい飲み方を紹介

魔性の酒、悪魔の酒と言われている「アブサン」。もともと薬酒として作られたものですが、画家として有名なゴッホもアブサンの魅力に取り憑かれてしまうほど、中毒性のあるお酒として知られています。今回は製造や販売を中止されるという歴史を持つ薬用酒「アブサン」の魅力や歴史を紐解きます。

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魔性の酒、悪魔の酒と言われている「アブサン」をご存知でしょうか?
アブサンはもともと薬酒として作られたものですが、画家として有名なゴッホもアブサンの魅力に取り憑かれてしまうほど、中毒性のあるお酒として知られています。

今回は製造や販売を中止されるという歴史を持つ薬用酒「アブサン」の魅力や歴史を紐解きます。

アブサンってどんなお酒?

アブサン(absinthe:フランス語)は、フランス、スイス、チェコ、スペインを中心にヨーロッパ各国で作られている薬草系リキュールの一種。

材料のニガヨモギ・アニス・フェンネルは、アブサンには欠かせない必須のハーブと言われています。

名前の由来

アブサンの味を最も特徴付けているのはニガヨモギ。アブサンはニガヨモギの学術名「アルテンシア・アブシューム:Artemisa absinthium」から名前が付けられたと言われてます。

ニガヨモギの学術名にあるabsinthium(ラテン語)、英語の「absence(アブセンス)」の語源ですが、その意味は「不在」。フランス語でも「存在しない」という意味になります。実はアブサンの主原料・ニガヨモギの花言葉は「不在」

その中毒性から製造禁止になった時、「名は体を表す」、「名づけられた時からこのような運命が決まっていた」、とも語られたとか。なんだか不思議な話ですね。

アブサンの原材料

アブサンは薬草系リキュールといわれるだけあって、さまざまな薬草が含まれています。ニガヨモギのほかにも、アニス、ウイキョウなどをメインに、複数のハーブやスパイスを漬け込んで作ります

現在は、世界中で作られており400種以上の銘柄があるとも言われています。一言でアブサンと言っても、漬け込むハーブやスパイスの種類や色、味、香り、作り方などは千差万別です。

アブサンの味

アブサンはハーブの香りがふんだんに感じられるメントールのような味が特徴。ハーブ好きの方ならきっとハマるはず!ただ、青臭さが強いので好き嫌いがハッキリ分かれるお酒でもあります。

また、アルコール度数が高いことも特徴の一つ。度数が低いものでも40度、高いものだと70~80度以上のものもあるようです。

アブサンの歴史

アブサンは1730年頃のスイス・クーヴェの医師、ピエール・オーディナーレがその蒸留法を応用して独自のレシピを作り出したことが始まりと言われています。

クーヴェで作られたアブサンは、ニガヨモギを主原料としアンジェリカの根、パセリ、パームなどの薬草、香草をブランデーに漬け込み、再蒸留したもの。ブランデーを再蒸留するため、アルコール度数は70%以上にもなります。

この頃は自家用の薬用酒として広まり、それぞれの家庭で漬け込んだリキュールとして使われていました。アルコール度数があまりに高いことから、飲用というより消毒薬として使われていたようです。

ピエールはアブサンを酒造会社であるアンリ・ルイ・ペルノーに売却、商品化された「アブサン・ペルノー」は爆発的ヒットを遂げます。

アブサンを愛用した偉人たち

アブサンが量産化され、気軽に買えるようになると中毒者が続出します。まず、芸術家達の間で愛飲者が出てきます。事実、詩人や絵描きにアブサンによるアルコール中毒者や人格破綻者が出始めます。

アブサンの愛好者であり中毒者として有名どころといえば、詩人のヴェルレーヌや画家のゴッホロートレックなど。画家のアルベール・メニャンは作品『緑色のミューズ』(Albert MAIGNAN, La muse verte) で、アブサンを飲用して緑色の妖精を見ている男の姿を描いています。

発禁から解禁へ

その後、世界では第二次世界大戦を始めとする戦争が勃発。アブサンの代用品などが巷に出回りましたが、その質はとても粗悪なものでした。

1981年、アブサンは幻覚症状の作用がそこまで強くないことが科学的に証明され、現在はアメリカなどで生産・販売は再開されています。

どうして悪魔の酒と言われるの?

アブサンが魔性の酒、悪魔の酒と言われたのは、前述したとおり中毒者や依存症の人が多く出たからだとされています。
では、アブサンにはどのような効能があるのでしょうか?

ニガヨモギの効用は?

ニガヨモギはヨーロッパでは古代からすでに薬用のほか、宗教儀式、戦車競走の勝利者への賞品とされるほどポピュラーな植物。ヨーロッパの民間療法でも、骨折・打ち傷の炎症に湿布剤として使われていました。

またワインに入れたり、ドレッシングに生の葉をまぜてかけたりすると、爽やかな苦みが食欲を増進させたり、胆汁の分泌を活性化させると考えられていたようです。

中でも古来から信じられていたのは、苦味成分にありがちの健胃をはじめ、虫下し、婦人病、強壮、解熱などに、効果有りということ。アブサンはさまざまな病気に効くようです。

中毒症状を起こす原因はニガヨモギのツヨン

アブサンの主原料であるニガヨモギは、ツヨン(Thujone)とカリオフィレン(caryophyllene)を主成分とする揮発油を1.7%程度が含まれています。ツヨンは中枢神経に及ぼす作用、つまり強い神経毒性、麻痺性、昏睡、痙攣等の作用があることがわかっています。

ツヨンを大量に服用した場合、痙攣を引き起こします。ニガヨモギはその苦味から強壮作用をもつ一方で、習慣的な使用や大量の摂取は、不安感、不眠、悪夢、おうと、めまい、震え、けいれんを起こすのです。

その一方で、向精神作用を持つこともわかっており、アブサン(リキュール)としてこれを摂取すると、大麻と同様の作用をもつことが報告されています。

かつてアブサン依存症や中毒者が続出していたのは、アブサンの成分が原因の一つでもあったようですね。(現在発売されているアブサンには幻覚作用はありませんので、ご心配なく

アブサンの飲み方

アブサンにはストレートで飲む以外にも様々な楽しみ方があります。

伝統的な飲み方や、初心者でもおすすめな飲み方、カクテルなどを紹介します。

伝統的なアブサンファウンテンで楽しむ

ALANDIA アブサン ファウンテン バブル プレミアム | 吹きガラス | 4つの注ぎ口 | アブサンをオリジナルの方法で準備する
画像:amazon.co.jp

アブサンに明るいBARなどでお目にかかれる、アブサン専用のポット「アブサンファウンテン」を使ってアブサンを楽しむ方法です。アブサンが入ったグラスの上に「アブサンスプーン」と言われるアブサン専用のスプーンを乗せます。

その上に角砂糖を乗せ、アブサンファウンテンから水を少しづつ垂らして飲む「ドリップ」という現地のスタイルは、徐々にアブサンが白濁し香りが立って、より複雑なアブサンの魅力が楽しめますよ。

中にはアブサンを角砂糖を経由させて注ぎ、角砂糖に火をつけるスタイルも存在しています。

砂糖が溶けたら好みの甘さにアブサンを調節し、アブサンファウンテンから少しずつ水を加えて味わいます。

アブサンファウンテンは国内ではほとんど生産されていないので、BARで見かけたらぜひ一度は試してみてほしい飲み方。(BARによっては安全面からできない場合もあります)

自宅でやってみたい場合は、茶こしのようなものに氷を入れ、少しずつ水を垂らすと近い楽しみ方が可能な他、通販サイトで販売されている器具を使えばパーティーが盛り上がるかも!?


シンプルにソーダ割り

アルコール度数が高いアブサンを、ソーダで割る方法です。

すっきりとした味わいに加え、アルコール度数が低くなるためお酒が苦手な方でも楽しむことができます。

自宅で楽しむ場合は、炭酸を抜かないようにすることと、溶けにくい氷を使うのが大切。水っぽくなってしまうとせっかくの炭酸が薄まってしまうので、注意して作ってみてくださいね。ソーダにこだわることで、ワンランク上の味わいを楽しむことが出来ますので、吟味してみてください。

また、炭酸ではなく水で割ってもアブサンの複雑な香りが楽しめます。


サントリー ザ・プレミアムソーダ from YAMAZAKI 炭酸水 240ml×24本
¥2,498 (¥104 / 本)
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

トニックウォーター割り

アブサンとトニックウォーターもとても良い組み合わせです。

トニックウォーターの特徴的な香りが、アブサンの薬草系の香りと合わさり、華やかで複雑な1杯を演出します。お好みでレモンやライムを加えてもおすすめです。

トニックウォーターも炭酸を抜かないように注意しながら作ると一層華やかさが増しますよ。


アブサンを使ったカクテルで飲みやすく

アブサンを使ったカクテルは、ストレートとはまた別の美味しさがあります。

アブサンに明るいBARでは、そのお店のオリジナルアブサンカクテルがあったりもするので、ぜひ聞いてみてくださいね。

おいしく飲みやすいアブサンカクテルを、家で飲みたい方に向けてレシピも含めて紹介します。

コンチネンタル・ハイボール

アブサンのソーダ割りをさらに飲みやすくしたカクテルです。グラスや材料は、あらかじめよく冷やしておくのが美味しく作るコツ。

レシピ

・アブサン 45ml
・シュガーシロップ 2dash(約2ml)
・ソーダ 適量

作り方

1:アブサンとシュガーシロップをシェイクします。
2:氷で満たしたコリンズグラスにソーダを注いで1回ステアすれば完成です。

アブサン・グラス・ホッパー

チョコミントにようなカクテル「グラス・ホッパー」にアブサンを合わせたレシピです。

もともとのミントのリキュールとアブサンの薬草感が見事にマッチしたカクテルです。生クリームが入っているのでシェイクはしっかり行いましょう。

レシピ

・アブサン 20ml
・ミントリキュール 10ml
・ホワイトカカオリキュール 15ml
・生クリーム 15ml

作り方

材料をシェイクしてカクテルグラスに注ぎます。

モンマルトル・ミュール

同じく薬草系のリキュール「シャルトリューズ」と合わせてジンジャーエールで満たしたカクテルです。

シャルトリューズはアブサンに合わせて緑色の「シャルトリューズ・ミュール」を使うのがおすすめです。

ジンジャーエールも辛口のものを使うとハーブっぽさが前面に出てきて非常に良い組み合わせに!

レシピ

アブサン : 20ml
シャルトリューズ : 20ml
ジンジャーエール : 適量

作り方

1:冷やしたグラスを氷で満たします。
2:アブサン、シャルトリューズを加えてステアした後、ジンジャーエールで満たします。

アブサンが飲めるおすすめのお店

一時は発禁になったアブサン。その魅惑の味をぜひ飲んでみたい方は、まずはお店で味わってみてはいかがでしょうか?

所蔵するアブサンは約100種類!東銀座の名店・Vanilla Var

アブサン発祥の地と言われるスイスの伝統的手法で飲めるVanilla Var。所蔵するアブサンはなんと100種類。アブサンリストにはずらりと有名どころの名が。

さらにこちらはシガーも吸い放題だとか。ゆらゆらとしたシガーの上品な香りとアブサンをゆっくり楽しむにはうってつけの大人な空間です。

Vanilla Var

住所

東京都中央区銀座3-12-5 宏和ビル

営業時間

【月~土】 18:00~翌3:00
【祝】 18:00~24:00

定休日

日曜日(HPにて最新情報を掲載中)

平均予算

3000^3999円

アクセス

都営浅草線東銀座駅A7口 徒歩1分

Bar TRENCH(バー トレンチ)

2010年にオープンした恵比寿の書庫のあるBAR。アブサンをはじめ、さまざまな薬酒が楽しめます。お店の名の通り、都会の喧噪から離れたBar TRENCHで静かで大人な雰囲気を楽しんでみてはいかがでしょうか?

こちらはアブサンカクテルが豊富。初心者の方でもおいしく飲めるアブサンを提供してくれますよ。

Bar TRENCH(バー トレンチ)

住所

東京都渋谷区恵比寿西1-5-8 DISビル 102

営業時間

19:00~翌2:00(ラストオーダー)

定休日

無休(年末年始のぞく)

平均予算

3000~3999円

アクセス

東京メトロ日比谷線恵比寿(東京都)駅2番口 徒歩2分

家でも飲みたい方にオススメのアブサン

アブサンの悪魔的な魅力にはまってしまったら、ぜひ自宅でもアブサンを楽しんでください。

様々な種類があるアブサンからおすすめをピックアップして紹介します。

マンサン アブサン

マンサン アブサン by マリリン マンソン 66.6度 700ml
画像:amazon.co.jp

過激なパフォーマンスや歌詞でしばしば「悪魔の死者」と呼ばれることもあるアーティスト「マリリン・マンソン」がプロデュースしたことで有名なアブサンです。

スイスのオリバーマター蒸溜所が制作するこのアブサンは、2年もの制作期間を経て作られた本格派アブサン。

アルコール度数は66.6%と、なんとも彼らしいアブサンですが、テイストは超本格的で飲みやすく2008年のコンペティションでもゴールドメダルを受賞している実力派の商品です。

天然ハーブのみを使用した味わい深いおすすめのアブサンです。


マンサン アブサン by マリリン マンソン 66.6度 700ml
¥8,008
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

ペルノ アブサン

ペルノ アブサン [ リキュール 700ml ]
画像:amazon.co.jp

長い歴史を誇る元祖アブサンとも呼べる商品です。

フランスで作られるペルノ アブサンは程よい甘さと薬草の風味のバランスが非常によく、歴史の芸術家たちが愛飲して破滅した事実が少しだけわかる気がします。

アルコール度数は68度とやはり高めなので、飲みやすいからとスイスイいくと危険なお酒です。


ペルノ アブサン [ リキュール 700ml ]
¥4,876
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

キュブラー ヌシャテル

キュブラー アブサン ヌシャテル スイス産 53度 500ml
画像:amazon.co.jp

スイスのブラックミント社が作るこのアブサンはスイスでは絶大な人気を誇っています。

アルコール度数は53度で、先に紹介した2本よりかなり飲みやすいアルコール度数になっています。ただ、それでも十分アルコール度数は高いので注意してくださいね。

非常に飲みやすいアブサンで、割って飲む場合の水の量も普段より少し少なめでも良いくらいです。

人工添加物、人工着色料、砂糖無添加で作られる、昔ながらのアブサンの味をお試しあれ!


キュブラー アブサン ヌシャテル スイス産 53度 500ml
¥6,289
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

まとめ

知れば知るほど、深くて面白いお酒「アブサン」。

「アブサンファウンテン」というグッズを使った、面白い飲み方があるなどオシャレさんが嗜んでいるイメージもありますよね。

ネットでも気軽に購入できますので、ゆっくりとした大人な時間をすごしてみるのもオススメです♪

《ハタヤマ シンノスケ》

ハタヤマ シンノスケ

専門学校を卒業後、銀座の有名料亭で修行。複数の飲食店を経て、現在はフリーランスの料理人として調理以外にも執筆も行なう。各種料理免許の他、利酒師の資格も保有。日本酒、ビール、焼酎、泡盛......なんでも大好き!!

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