春が近づくとやってくる、つらい花粉症シーズン。それでも「仕事終わりの一杯はやめられない」という人は多いはず。今回は、イシハラクリニック副院長の内科医・石原新菜先生に、花粉症とお酒の関係について詳しく聞きました。お酒好きにこそ知ってほしい、上手な付き合い方を解説いたします。
花粉症とお酒って、そもそも関係あるの?

結論から言うと、関係は「大いにある」とのこと。
アルコールが体内で分解される際に生まれるアセトアルデヒドは、アレルギー症状を引き起こす「ヒスタミン」の放出を促します。さらに、アルコールには血管拡張作用があるため、鼻の粘膜が腫れ、鼻づまりや目の充血が悪化しやすくなります。
「飲んだ翌朝に鼻水が止まらない」という現象も、血流変化や水分代謝の乱れによる粘膜のむくみが原因。先生いわく、「お酒は、炎症に火に油を注ぐようなもの」とのことです。
なぜ「飲むとつらくなる人」がいるの?

ポイントは大きく2つ。
1つ目は、アルコールによる血行促進で鼻粘膜の毛細血管が広がること。
2つ目は、アルコール代謝の過程でヒスタミンが増えること。
また、まだ花粉症を発症していない予備軍の方でも、「花粉+アルコール」というダブル刺激で一時的に症状が出るケースもあるそう。春は自律神経が乱れやすい季節でもあり、アルコールの影響を受けやすい時期なのです。
症状を悪化させやすい条件・体質は?

体質によって差もあるようですが、アルコール分解能力に加え、「体温」と「腸内環境」が重要なんだとか。平熱が低く体が冷えがちな人は、免疫バランスが崩れやすく、少量の飲酒でも症状が出やすい傾向に。
さらに、空腹時や寝酒はNG。空腹時はアルコールの吸収が速まり、ヒスタミン分泌が急増しやすくなります。寝酒は睡眠の質を下げ、夜間の粘膜修復を妨げるため、翌朝の症状悪化につながります。飲むのであれば就寝3~4時間前までが理想です。
避けたほうがいいお酒の特徴・種類

特に注意したいのが「醸造酒」。ビール、ワイン、日本酒などは発酵過程でヒスタミンが増加し、アルコール代謝との相乗効果で症状を誘発しやすいといいます。
一方、焼酎やウイスキーなどの蒸留酒は、蒸留工程でヒスタミンがほぼ除去されるため比較的安心なんだとか。カクテルもベースがジンやウォッカなどの蒸留酒であれば影響は抑えめですが、甘いジュースで割るタイプは注意。糖分過多は腸内環境を乱し、免疫バランスを崩す原因になります。
また、症状が重い日は「キンキンに冷えた一杯」は避けたいところ。冷たい飲み物は内臓を冷やし、血流を悪化させます。一気飲みも厳禁です。
先生おすすめは「焼酎のお湯割り」。体を温めながら、比較的影響を抑えて楽しめる飲み方だといいます。
それでも飲みたい人への現実的アドバイス

「お酒を完全に断つストレスも、また免疫を下げる」と先生。大切なのは“整える意識”です。
石原先生が実践しているのは、
・体を温める「温活」(運動・サウナなど)
・免疫バランスを意識した食事
・腸内環境を整える習慣
特に強調していたのが「ショウガオール」。生姜を加熱・乾燥させることで生まれる成分で、深部体温を高める働きがあるとされ、“摂るサウナ”とも呼ばれます。
飲んだ後は、しょうが紅茶やしょうが湯で内側から温めるのがおすすめ。アルコールで下がりやすい深部体温をサポートし、翌日のコンディションを整えます。
さらに、腸には免疫細胞の約7割が存在するといわれています。水溶性食物繊維や発酵食品を取り入れ、腸内環境を整えることも花粉症対策の一環です。
花粉症シーズンの“賢い一杯”を

量の目安は「普段の7割」。アルコール代謝には大量の水分とビタミンを消費するので、飲みすぎると粘膜の修復が追いつかないんだとか。週2日は内臓の炎症を鎮める時間として、休肝日を設けるよう意識したほうが良さそうです。
花粉症の時期は、「冷やすお酒」を飲んだら「温めるケア」で補う。
そして量を抑え、体を整えながら楽しむ。
つらい季節でも、工夫次第でお酒は楽しめるんですね。自分の体と対話しながら、“思いやりのある一杯”を選んでみてはいかがでしょうか。
石原新菜(いしはら にいな)先生

イシハラクリニック副院長。帝京大学医学部卒業。日本内科学会・日本東洋医学会会員。漢方医学や自然療法、食事療法を中心に診療を行う。わかりやすい医学解説に定評があり、講演・テレビ・ラジオ・執筆など幅広く活動中。








