オンキヨーは、長年培ってきた音響技術を異業種に応用する「音楽食品ビジネス」の一環として、奈良県の澤田酒造と共同開発した新商品を2025年11月1日(土)より発売することを発表しました。ベートーヴェンの交響曲第9番を聴かせて熟成させたことから、歓喜光 純米原酒 「第9」が商品名となっています。
ベートーヴェン「第九」が醸す新しい日本酒体験
今回発売される、歓喜光 純米原酒 「第9」は、オンキヨー独自の音楽加振技術の証である「Matured by Onkyo」が付された純米原酒です。
製造工程の「留仕込み」から「搾り」までの約20日間、醪(もろみ)に音楽の波長を振動に変える特殊な加振器を沈め、ベートーヴェンの交響曲第9番を聴かせて醸造されました。「苦悩を越え、歓喜へと至る」という楽曲の流れを、酒造りの歩みに重ね合わせたとしています。
麹米には山田錦、掛け米にはヒノヒカリを使用し、協会901号酵母によって華やかな香りとやわらかな旨味を引き出しています。アルコール度数18度の原酒ならではの豊かなコクがありながらも、口当たりは驚くほどやさしく、ほのかに漂う麹の香りが楽しめるのが特徴です。

商品仕様:内容量720ml、精米歩合は65%
特許技術に裏付けされた「Matured by Onkyo」
このユニークな日本酒を支えるのが、オンキヨーの「Matured by Onkyo」という技術です。同社は音の専門メーカーとして、測定器だけの評価に頼らず人間の感覚量を技術に落とし込むオーディオ設計を行ってきました。その知見を食品分野に応用し、「音楽がもつ自然の力で素材のポテンシャルを最大限に引き出す」ことをテーマに掲げています。
音楽振動が酵母の成分や機能に与える影響、発酵メカニズムについて、東京農業大学 応用生物科学部 醸造科学科との共同研究によって科学的な解明が進められています。
さらに、オンキヨーは関連技術で2件の特許を取得しています。1つは、もろみの状態に応じて振動の与え方を変化させ、製品の品質のばらつきを抑制する発明(特許第7620208号)。もう1つは、ハイレゾ楽曲など可聴帯域より高域の成分を含む音楽で、より幅広い周波数帯域の振動を与える発明(特許第7698211号)です。これらの特許技術が、安定した品質での製造を可能にしています。
醸造業界の課題解決にも貢献
オンキヨーの加振技術は、新たな付加価値の創出だけでなく、醸造業界が抱える課題解決への貢献も期待されています。
同社は金沢工業大学の尾関健二教授と共同で、「高温障害米」に関する研究も開始。研究では、高温障害米に消化酵素剤と加振技術を組み合わせることで、硬くなったデンプン質を効率的に溶かすことが可能になるという成果を得ており、既に特許出願済みです。



