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意外と知らない日本酒の知識!「冷やと冷酒の違い」について教えます

日本酒には冷や、常温、燗と幅広い飲み方があります。キリリとした「冷酒」はスッキリと飲めて美味しいし、あっつい「熱燗」は風味が広がって美味しいですよね。 ただこの日本酒の温度帯について、きちんと把握している人は意外と少ない …

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日本酒には冷や、常温、燗と幅広い飲み方があります。キリリとした「冷酒」はスッキリと飲めて美味しいし、あっつい「熱燗」は風味が広がって美味しいですよね。

ただこの日本酒の温度帯について、きちんと把握している人は意外と少ないのではないでしょうか?

居酒屋で「日本酒を冷や(ひや)でください」と注文したところ、冷たい冷酒が出された。なんてエピソードもちらほら聞きます。実はこれ、店員さんが大きな間違いをしているんです(笑)

ということで今回は、冷やと冷酒の違いを中心に、日本酒の温度帯について触れていきたいと思います!

「冷や酒(ひやざけ)」と「冷酒(れいしゅ)」の違いは?


結論から言うと、冷や酒(ひやざけ)は常温の日本酒を指し、冷酒(れいしゅ)は冷えた日本酒のことを指すのです。表記ではどちらも冷たいお酒に感じますが、冷と酒の間に「や」が入るか入らないかで大きな差が生まれます。

なんで冷たくないのに「冷や酒」って言うの?と、最近日本酒を飲み始めた人は不思議に感じることでしょう。
その答えは日本酒の歴史の中に隠されているのです!

日本酒を冷やして飲みはじめたのは最近の出来事!?


実は日本酒の長い歴史の中から見ると、日本酒を冷やして飲むという風習はごく最近のことなのです!理由は単純。昔は冷蔵庫が普及していなかったからです。

冷蔵庫が登場するより前の日本酒は、「冷や」と「」の飲用温度の区別しかありませんでした。単純にお酒を冷やすことができなかったので、「冷や」というのは「燗を付けてない」酒となり、常温の日本酒を指していました。

つまり「冷酒(れいしゅ)」という日本酒を冷やした飲み方は、日本酒の歴史の中でも比較的最近の飲み方ということになります。

燗については「ぬる燗」「熱燗」など昔から細かく分類されていたらしいのですが、日本酒を冷やすという飲み方は一般的ではなかったのです。1980年代に「吟醸酒」ブームが起こり、冷蔵庫の普及とともに、やっと冷やす日本酒(冷酒)が広まっていきました。

現在では、日本酒を冷やして飲むのはごく当たり前ですが、100年前の人が聞いたらビックリするでしょうね。

居酒屋さんに聞いてみた!


「冷や酒」と「冷酒」の違い。日本酒好きには当たり前かもしれませんが、最近日本酒を飲み始めた若い方々にとっては、知らない方が多いと思います。

実際、とある日本酒居酒屋の店主に聞いてみたところ、「最近は若いお客様も増えてきています。そのため『冷や』と注文されれば、常温のお酒か、冷えたお酒のどちらをご希望かを必ず聞くようにしています」という返答をいただきました。日本酒を常温で飲みなれていない若い方は、やっぱり多いのでしょう。

そもそも冷蔵庫が普及した現代では、飲み物は冷やして飲むというのが一般的ですよね。実際冷えた飲み物は喉越しも良く美味しいです。
しかし前述した通り、もともと常温で楽しむのが当たり前だった日本酒は、冷えてなくても美味しいのです!次は日本酒の温度帯について触れていきます。

温度で風味や呼び方が変わるお酒は世界でも珍しい


実は上の画像の様に、日本酒には温度差による名称の違いが数多くあります。

それほど日本酒は、温度で風味が変化する珍しい性質を持ったお酒なのです。これは世界にまで視野を広げても稀有な例で、日本の風土・気候・文化が育てた特性と言えるでしょう。

これぞまさに、日本が世界に誇れる文化ですね!!

温度で変化する風味や味わい


一般的に「冷や」から「日向燗」程度までは、日本酒の甘味が増し、苦味が減る。つまり温めて燗にすることにより、酒により甘味が感じられるようになります。

そして「人肌燗」から「飛び切り燗」まで温度を上げていくと、切れ味が良い辛口が感じられるようになるのです。(もちろん、酒質や人の味覚によって変わる。)

そのため、酒好きにとっては「冷や酒(常温)」と「冷酒」の違いは死活問題なのです。「冷や酒」は日本酒そのものの味を楽しみたいとき。「冷酒」は吟醸香の華やかな香り、すっきり爽快な舌触りを楽しみたいときと、楽しみ方が変わってきます。

ちなみに、日本酒のラベルの裏を見るとオススメの温度帯が書いてあることもあるので、今度好きな銘柄のラベルをチェックして見てください。
造り手の理想の温度帯でいただけば、より美味しく日本酒を堪能できること間違いなしです!


お好みの温度帯を探してみて!


ご紹介した通り、温度によって味わいも楽しみ方も変わってくる日本酒は、実に細かく名称が区別されています。

最近では”氷点下まで冷やして楽しむ日本酒”も販売されているので、技術の進歩によって、また新しい名称が生まれてくるかもしれませんね!

時代の流れとともに冷やすのも一般的になっており、若い人は「冷や酒」=「常温」という認識はあまりないかもしれません。しかし、せっかくこんなに味わいが変わるのだから、ぜひ自分の好きな温度帯を見つけて日本酒をより楽しんでみてくださいね!

《三寺悠仁》

三寺悠仁

高知県の酔鯨酒造で2年間蔵人として勤務、現在はKURANDの商品開発に関わる日本酒のプロ。日本酒の素晴らしさを世に伝えるべく、日夜活動中。

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