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イタリアのお酒・グラッパってなに?美味しい飲み方や豆知識をご紹介

イタリアお酒「グラッパ」を知っていますか? 某チェーンのイタリアンレストランなどにも置いてある人気のお酒なのですが、意外にも飲んだことがない方も多いと思います。 今回は、グラッパの基本の飲み方やオススメの飲み方、グラッパ …

お酒を選ぶ ブランデー
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イタリアお酒「グラッパ」を知っていますか?

某チェーンのイタリアンレストランなどにも置いてある人気のお酒なのですが、意外にも飲んだことがない方も多いと思います。

今回は、グラッパの基本の飲み方やオススメの飲み方、グラッパを使ったカクテルなど・・・今度見つけたら飲みたくなる、グラッパの魅力をご紹介します!

グラッパとは

グラッパ

グラッパは、イタリアでつくられるブドウを原料とした食後酒として飲まれるアルコール度数が30%~60%ほどの蒸留酒です。イタリアでつくられたものだけがグラッパとして呼ばれており、イタリアの法律で厳格に管理されています。

ブドウの蒸留酒といえばフランスのブランデーが有名ですが、グラッパはブドウの果実ではなく絞りかすからつくられます。

グラッパができるまで

グラッパは、ワインをつくった際に発生する搾りかす「ポマース」が原料。ポマースを発酵させたアルコールを蒸留することによって、造られます。

蒸留回数は生産者によって違いがありますが、一般的に1~3回に分けて蒸留されます。単式蒸留機と精留塔を組み合わせた蒸留機を使うのが伝統的な方法ですが、連続式蒸留機を使う生産者も最近は増えているのだそう。

連続式蒸留機を使用した方が、雑味が混じりにくく、ピュアな味わいになりますが、伝統的なグラッパが好きな方は単式蒸留器でつくられたグラッパがオススメ。

透明なグラッパが多いイメージですが、中には樽熟成を行うグラッパもあり、様々な楽しみ方があることも特徴です。

ブランデーとの違い

グラッパは果実を蒸留してつくられるため、ブランデーの一種として大別されています。

ブドウを使った蒸留酒のブランデーは、ブドウを絞ったワインを蒸留したものですが、グラッパはその搾りかすを使ってつくられます。そのため「かすとりブランデー」とも言われているのです。

ブランデーは主に白ブドウを使いますが、グラッパはブドウの種類は指定されておらず、「生産する国がイタリアであること」「原料が100%搾りかすのみ」ということが、グラッパとして名乗る条件とされています。

グラッパの魅力

ブランデーやウイスキーと比べて、グラッパは製法に関しての法律はあまり決められていないため、様々なつくり方が存在します。

前述した蒸留機の違いもそうですが、使う品種が1種類だけのものと複数の種類を使うものの違い、樽で熟成させるかさせないかなど、多種多様なグラッパが存在しているのです。

イタリアでは、主に食後酒としてストレートで飲まれることが多いグラッパですが、食後酒として楽しまれるグラッパはアルコール度数が高い場合が多いです。しかしながら、グラッパの種類によっては、アルコール度数が低めのグラッパも存在しているので、シーンにあわせてその違いを楽しめるのも魅力の1つと言えそうです。

また、熟成されていない透明なグラッパはブドウの香りが華やかですが、アルコール感もしっかりあるため、苦手な方は熟成したタイプのグラッパを選ぶとより美味しく味わえます。

また、ブドウの果実を使うブランデーに比べて、比較的に安価で手に入れられるのもグラッパの魅力の1つだと言えるでしょう。

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グラッパは国内輸入が難しい?

有名ファミリーレストランやイタリア料理屋、BARでも見かけるグラッパですが、実は輸入が難しく、価格も上がってしまった時期がありました。

原因は、グラッパに含まれるメタノールにありました。

2011年に輸入アプリコット・ブランデーから規制値を上回るメタノールが検出され、製品回収される事例があったため、食品衛生法の定める飲用のメタノール濃度のチェックが厳しくなり、規制値を超えるグラッパは輸入禁止か製菓用に回すことになったのです。

規制値を超えないグラッパでも、検査料がグラッパの値段に上乗せされたため徐々にグラッパは市場から姿を消すことになってしまいました。

エタノールと沸点が違うメタノールの除去は単式蒸留機では難しく、連続式蒸留機を使用することで抑えられます。

日本に流通している飲用のグラッパは、連続式蒸留機を使ったものが多く、結果的に現在ではスムースな味わいのグラッパが国内に多く流通することになりました。

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グラッパの基本の飲み方

グラッパ

スムースな味わいが日本で楽しめるグラッパですが、どのような飲み方があるのでしょうか。

基本的にはどのように飲んでも楽しめますので、どんなテイストで飲みたいかによって飲み方を変えてみるのも楽しみ方の1つです。

ストレート

食後酒として、ストレートでグラッパを飲むのがイタリアでは主流です。口の中に残っていた料理が強めのアルコールによって洗い流される印象で、飲み込んだ後はブドウの香りが優しく香ります。

やはり、ストレートは食後酒としての醍醐味がつまった飲み方だと言えそうですね。熟成されたグラッパは口当たりもまろやかで、味も香りも楽しめますよ。

香りを楽しむには、グラッパ専用のグラスやテイスティンググラス、ブランデーグラスなどの香りが立ちやすいグラスがオススメです。度数が強いので、ゆっくりと味わいましょう。

また、アルコール度数が高いグラッパは冷凍庫で保存しても凍ることはありません。冷やすことでアルコール感が抑えられ、飲み口がマイルドになるので、これもおすすめの飲み方。

しかし、アルコールの度数は変わらないので、飲み過ぎには注意してくださいね。

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トワイスアップ

グラッパと同量の水を入れて味わう方法です。主に香りや甘みを引き出すための飲み方で、加水することによってアルコール度数も落ちるのでストレートが苦手な方でも楽しめる飲み方です。

この場合は、グラッパと水は常温がオススメ。冷やしてしまうと、加水した時に香りが開きにくくなってしまいます。

冷やして飲みたい方は、ハーフロックか水割りにしてみましょう。

オンザロック

ゆっくり飲みたい時にオススメしたい飲み方がオンザロック。大きめの氷をロックグラスに入れてグラッパを注ぐ方法です。

氷がゆっくり溶けることによって、グラッパの味の変化を楽しむことができます。

氷は溶けにくい「純氷」を使いましょう。
家庭用の製氷器付きの冷蔵庫の氷は空気が多く混じっているため溶けるのが早く、風味も悪くなってしまいます。

「純氷」はコンビニで手軽に買えるので、ぜひ試してみてきださい。

ハーフロック

トワイスアップに氷を落とす飲み方です。
この場合はグラス、グラッパ、水をしっかり冷やすと氷が溶けにくく水っぽくならないので各材料をしっかり冷やしておきましょう。

はじめにオンザロックスタイルで楽しんでから、お好みで加水しても楽しむことができるのがハーフロックのメリットの1つです。

自分のお気に入りの配分を見つけてみてくださいね。

水割り

氷を入れたグラスにグラッパ1、ミネラルウォーターを3ほどの割合で注ぎます。割合は好みによって調節してみてください。

氷を入れたグラスは1度バースプーンやマドラーでステアし、氷の角を取りながらグラスを冷やします。

溶け出た水を捨ててからつくることで、氷が溶けて味が水っぽくなることを防いでくれます。アルコール度数も弱くなるので、お酒が弱い方でも楽しめる飲み方ですよ。

ソーダ割り

アルコール度数が高いお酒が苦手の方にオススメしたいのがソーダ割です。爽やかな飲み口とともに、グラッパ特有の香りが広がります。

少し熟成したグラッパでつくると、さらに熟成による深みが楽しめます。

美味しく作るコツは、各材料をしっかり冷やすことと混ぜすぎないこと。

特に混ぜる回数は1回程度にしておきましょう。炭酸をなるべく抜かないようにイメージしてつくるとソーダ割本来の良さがしっかりと楽しめますよ。

グラッパ・コン・モスカ

日本語に訳すと「ハエが入っている」という少々ショッキングな意味の飲み方です。

グラスにグラッパを注ぎ、その中に焙煎したコーヒー豆を1~3粒ほど入れてグラッパに火をつけます。

火が消えてグラスが冷めたら飲むのですが、コーヒー豆の香ばしい香りがグラッパと非常に相性が良く美味しく楽しめる飲み方ですよ。

ネーミングも含めてイタリアらしい飲み方です。

レゼンティン

イタリアでは、エスプレッソに沢山の砂糖を入れ飲む文化が一般的です。飲んだ後には溶け残った砂糖が残りますが、そこにグラッパを入れる飲み方がレゼンティン。

砂糖の甘みと、砂糖に移ったコーヒーの香りがグラッパと良く合います。

グラッパとコーヒーは非常に相性が良いため、この組み合わせを使った飲み方がいくつか存在しています。

飲みやすい!グラッパを使ったカクテルを紹介

グラッパ

ストレートが基本のグラッパですが、実はグラッパを使ったカクテルも存在します。

イタリアらしいカクテルがたくさん存在するので、ぜひイタリアンと一緒に楽しんでくださいね。

カフェ・コレット

砂糖入りのエスプレッソに、お好みのグラッパを少し垂らして飲むホットカクテルです。

基本的にはグラッパを入れることが多いカフェ・コレットですが、カフェ・コレットとはもともとエスプレッソにお好みのお酒を入れる飲み物という意味で使われるので、注文する時は入れるお酒の種類を指定するとスムーズに注文できます。

また、イタリアではエスプレッソに砂糖を多めに入れるため甘みもお好みで調節できます。

ホイップクリームを上に乗せたりするアレンジもあるので、自由に自分の好みのカフェ・コレットをつくってみてください。

バックスフィズ

バックスフィズは基本的にはシャンパンベースのカクテルですが、ベースのシャンパンをグラッパに変えたカクテルも存在しています。

グラッパに同量のオレンジジュースを合わせて、氷のたっぷり入ったグラスでキリッと冷やして飲みましょう。

グラッパは柑橘系との相性もとても良いため、嫌なくせが全くなくスッキリ美味しく楽しめます。オレンジジュースは果汁100%のものを使うとより本格的な味わいに。

ジェノバ

お酒好きにオススメしたいカクテル「ジェノバ」は、グラッパ、ジン、サンブーカを同量合わせてドライベルモットを少しだけ加えたステアカクテルです。

それぞれがかなり主張が強いお酒なので、味わいも複雑。アルコール度数も高いです。

サンブーカの甘みの裏に様々なテイストが隠れているため、かなり通好みのカクテルと言えるでしょう。

アブサンなど、薬草系のお酒が好きな方にオススメです。

グラッパ・ティー・カクテル

グラッパと紅茶を使ったモヒートのようなカクテルです。つくり方や使う紅茶は自由ですが、香りが強いアールグレイがオススメです。

グラスにミントとグラッパを入れ、程よく潰します。氷を入れて、甘くした少し濃いめのアイスティーを注いで混ぜ、最後に炭酸水で満たせば完成です。

ミントの清涼感、紅茶とグラッパの香りがバランスよく楽しめますし、アルコール度数も低めなのでグラッパ初心者にもオススメなカクテルです。

イタリアン・スティンガー

スティンガーのベースとして一般的に使用されるブランデーをグラッパに変えた「イタリアン・スティンガー」というカクテル。グラッパ2に対してミントリキュールを1注いでステアします。

グラッパが透明なときは、ミントリキュールも透明なものを使うと透き通った透明のイタリアン・スティンガーがつくれるので、ぜひ試してみてください。

甘くて飲みやすいですが、アルコール度数は高めなので飲み過ぎには注意してくださいね。

まとめ

グラッパ

イタリアのグラッパは製法や飲み方もイタリアらしい、自由な飲み方が特徴です。
食後酒としての楽しみ方以外にも、カクテルやエスプレッソと一緒に楽しんだり様々な飲み方があります。

一時期は価格の高騰や粗悪品が出回ったこともありましたが、蒸留技術の発展もあり様々なグラッパが手軽に楽しめるようになりました。

イタリア料理店などで見かけることがあれば、ぜひ頼んでみてくださいね。

《ハタヤマ シンノスケ》

ハタヤマ シンノスケ

専門学校を卒業後、銀座の有名料亭で修行。複数の飲食店を経て、現在はフリーランスの料理人として調理以外にも執筆も行なう。各種料理免許の他、利酒師の資格も保有。日本酒、ビール、焼酎、泡盛......なんでも大好き!!

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