米調査会社Gallupが2026年7月1~19日に実施した調査で、飲酒すると答えた米国成人は54%となり、2025年と並んで1939年の調査開始以来の最低水準でした。飲酒率は2023年の62%から2024年に58%、2025年に54%へ低下しており、3年間で8ポイント縮小したことになります。調査は全米50州と首都ワシントンの18歳以上1,200人を対象に電話で行われ、全体の誤差は95%信頼水準で最大±4ポイントです。(Gallup)。
飲酒率の低下と並行して、少量の飲酒に対する健康評価も厳しくなっています。1日1~2杯の飲酒を「健康に悪い」とした人は51%で、2001年の27%からほぼ倍増しました。「健康に良い」は同期間に22%から6%へ低下し、「健康に影響しない」は40%でした。長期的な健康影響に関する最近の研究を少なくとも何らかの形で聞いた人も86%に達し、2024年の79%を上回っています。
健康への警戒感は、とりわけ若年層で強く表れました。1日1~2杯を健康に悪いとみる割合は18~34歳で62%、35~54歳で51%、55歳以上で45%です。一方、実際の飲酒率は18~34歳が50%、35~54歳が58%、55歳以上が55%で、若年層は健康認識と飲酒参加の両面で慎重な傾向が確認されました。
飲酒者の飲み方にも変化が出ています。「時々、飲み過ぎる」と答えた飲酒者は13%で過去最低となり、1989年の35%から大幅に低下しました。飲酒者が直近1週間に飲んだアルコール飲料は平均3.2杯で、2025年の2.8杯からは増えたものの、それ以前5回の調査平均3.9杯を下回っています。飲酒者701人を対象とする結果の最大誤差は±5ポイントであるため、単年の小幅な増減よりも、中長期の低い水準をみる必要があります。
市場を属性別にみると、男女や年齢よりも教育・所得による差が大きくなっています。飲酒率は男性56%、女性53%で、年齢層別も50~58%の範囲でした。これに対し、大学卒は63%、一部大学教育を受けた層は62%、高校卒以下は40%です。世帯年収別では5万ドル未満が43%、5万~10万ドル未満が57%、10万ドル以上が66%となり、高所得層と低所得層の間には23ポイントの開きがありました。
ノンアルコール飲料は、非飲酒者だけの選択肢ではありません。過去1年間にノンアルコールのビール、ワイン、蒸留酒をアルコール飲料の代わりに飲んだ成人は17%で、飲酒者では20%、非飲酒者でも14%でした。代替品を利用する飲酒者のうち38%は以前より飲む量が増え、17%は減ったと回答しています。ただし、これは利用経験を尋ねた自己申告調査であり、販売数量や市場シェアを示すデータではありません。
酒類別の選好では、ビールが36%で首位を維持したものの、蒸留酒が32%、ワインが30%まで接近しました。2016年との比較では蒸留酒が12ポイント上昇し、ビールは7ポイント低下、ワインはおおむね30%前後で推移しています。これは販売構成比ではなく、飲酒者が「最もよく飲む」と答えたカテゴリーの比率ですが、飲酒人口が縮小するなかで蒸留酒の相対的な存在感が増していることを示します。
カテゴリー選好は属性によってさらに分かれます。男性はビールが56%、女性は16%である一方、ワインは女性45%、男性15%でした。蒸留酒は18~34歳で38%、35~54歳で34%、55歳以上で25%と若い層ほど高く、ワインは同じ順に24%、24%、37%です。教育別では大学卒の42%がワインを選んだのに対し、高校卒以下では19%にとどまり、高校卒以下では蒸留酒が40%と大学卒の27%を上回りました。
今回の結果は、米国市場を単純な「アルコール離れ」だけで捉えると、需要の実像を見誤ることを示しています。飲酒人口と飲酒量は長期的に弱含む一方、高所得層の飲酒参加はなお高く、若年層では健康への警戒と蒸留酒選好が同時にみられます。また、ノンアルコール代替品の利用者には飲酒者も多いため、アルコール商品とノンアルコール商品を完全に別の顧客市場として扱うのも適切ではありません。米国向けの商品・販路戦略では、全体平均だけでなく、所得、教育、年齢、カテゴリーごとの違いを分けて検討する必要があります。


