国税庁が公表した酒類免許の新規取得者一覧によると、2026年5月に免許を取得した件数は製造免許が20件、販売業免許が626件でした。製造免許では発泡酒が9件と最多を占め、クラフトビール系の参入意欲が依然として高いことがうかがえます。
製造免許の品目別内訳を見ると、発泡酒9件に次いでウイスキー3件、ブランデー2件、ビール2件と蒸留酒系にも動きがありました。連続式蒸留焼酎、果実酒、リキュール、酒がそれぞれ1件ずつとなっています。処理区分では新規が14件、移転が3件、法人成り等が3件でした。
都道府県別では東京と山梨がそれぞれ3件で並び、高知・長野・宮城が各2件と続きます。山梨では朝霧蒸留所株式会社がウイスキーとブランデーの2品目で法人成り等による免許を取得しました。同社は甲州市に拠点を置いています。
宮城では岩沼クラフトビア工房が発泡酒の新規免許を取得したほか、BLACK TIDE BREWING合同会社が気仙沼市の浪板工場としてビール製造免許を移転取得しています。石川県では江沼麦酒 OHANAビール醸造所が加賀市山中温泉で発泡酒の新規免許を取得しました。
注目すべきは教育研究機関による取得です。栃木県の小山工業高等専門学校微生物工学研究室がウイスキーの新規免許を、東京都の学校法人片柳学園 東京工科大学がビールと発泡酒の新規免許をそれぞれ取得しています。また三重県では日本サンガリアベバレッジカンパニーが上野工場でウイスキーの新規免許を取得しており、飲料メーカーによる蒸留酒への参入として目を引きます。
販売業免許626件の種類区分別では、一般免許が397件と全体の6割超を占めました。通信販売単独が28件、洋酒が19件、輸出入が10件となっています。通信販売を含む免許は合計75件、輸出入を含む免許は合計27件でした。
販売業免許の処理区分では新規が417件で最も多く、移転114件、条件緩和34件、相続23件、法人成り等18件、事業譲渡13件と続きます。相続と事業譲渡を合わせると36件あり、既存事業の承継による免許取得が一定数存在することがわかります。
販売業免許の都道府県別上位を見ると、東京都が121件で突出しており、大阪府59件、神奈川県41件、愛知県37件、福岡県33件と大都市圏が上位を占めます。石川県が19件で上位10位に入っている点も特徴的です。
製造免許で発泡酒が9件を占める構図は、小規模醸造所の開設が全国各地で続いていることを示しています。一方でウイスキーやブランデーといった蒸留酒の免許取得も複数あり、熟成を前提とした中長期的な投資判断が背景にあると考えられます。
販売業免許では一般免許の新規取得がコンビニエンスストアやドラッグストアの新規出店に伴うものとみられるケースが多く含まれています。輸出入を含む免許が27件ある点は、海外市場への関心やインバウンド需要を見据えた事業者の動きを反映しているといえます。
条件緩和が34件ある点は、既存の酒類販売事業者が取り扱い範囲を広げようとする動きを示唆しています。事業譲渡や相続による免許移転も含め、酒類流通における再編の動きは今後も注視が必要です。


