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フレーバードワインとは?基礎知識と人気銘柄ランキングTop10をご紹介【ソムリエ監修】

カクテルや料理にも使われることから、ワイン好き以外の層にも支持を得ている「フレーバードワイン」。 お酒に馴染みがない方にとっては、あまり聞いたことがない言葉かもしれませんね。しかし、名前を知らないだけど皆さんが口にしたこ …

お酒を選ぶ ワイン
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カクテルや料理にも使われることから、ワイン好き以外の層にも支持を得ている「フレーバードワイン」。

お酒に馴染みがない方にとっては、あまり聞いたことがない言葉かもしれませんね。しかし、名前を知らないだけど皆さんが口にしたことがある料理やカクテルにたくさん使われていたりするんです。

今回は、「フレーバードワイン」の基礎知識に加え、ソムリエのわたしがおすすめする人気のフレーバードワインをランキング形式で10本ご紹介します。

フレーバードワインとは?

ハーブ

フレーバードワインとは、ワインにハーブ(薬草・香草)・スパイス・果物・果汁・根・蒸留酒などで香り付けをしたワインの総称です。別名「アロマタイズドワイン」「香味付けワイン」「混成ワイン」と呼ばれることも。

ワインはフレーバードワインの他、以下のような3つの分類があります。

・スティルワイン・・・最も市場で出回っている発泡なしのワイン
・スパークリングワイン・・・発泡ワイン一般に3気圧以上のもの。シャンパンやプロセッコなど
・フォーティファイドワイン・・・アルコール添加ワインや酒精強化ワインと呼ばれるシェリー、ポート、マルサラ、マデイラなど

フレーバードワインが多く飲まれるシーンは、食前酒と食後酒。その他、カクテルや料理のソース・デザートに使われることもあります。

フレーバードワインの歴史

ドイツ

フレーバードワインは、各国で多種多様に造られており、背景や誕生の歴史も様々です。その中でも、フレーバードワインを代表するヴェルモットは元来、滋養強壮や医療に軸を置いた薬酒でした。ヴェルモットの語源は1500年代ドイツにあり、白ワインにニガヨモギ(wormwood)の花を浸漬して砂糖を加えたWormutというものに由来します。

当時は、薬局で調薬草師が造るものでした。いわば民間療法のように出回っていたこのヨーロッパの薬酒は、15世紀の大航海時代に保存性の高さから、長い遠方の暑い国への搬送に適していると舟に積まれることもあったのだそう。材料のひとつであったキニーネ(キナノキの樹皮に含まれる成分)はマラリアの予防効果が知られ、植民地先の国でも重宝されました。

時は流れ、1700年代後期。イギリスで産業革命が起き、ヴェルモットの世界が大きく変化します。富の拡大、交通網の整備、嗜好品の増加、現代医学の確立。今までの民間療法の薬酒は嗜好品の一部となっていきました。

特にイタリアとフランスでは、食前酒としての需要が増えていきます。1786年イタリアのカパルノ社が「スウィートヴェルモット」、1813年フランスのジョセフ・ノイリー氏がフレンチヴェルモットの元祖である「ドライヴェルモット」を生み出しました。そして、1800年以降にサングリアや個人会社オリジナルのフレーバードワイン(リレやデュボネなど)なども生まれたのです。

現在でも養命酒や滋養強壮の薬を飲む方はたくさんいらっしゃると思いますが、フレーバードワイン(特にヴェルモット)の出発点はそこにあり、時代と共に美味しさを求めて生まれたものです。

サングリアやグリューワイン(ホットワイン)のように、ヨーロッパの家庭で生まれたものから、会社オリジナルのものなど様々なものがあることがフレーバードワインの特徴です。

フレーバードワインを選ぶポイント

ワインのある食卓

フレーバードワインを選ぶポイントは、ずばりシチュエーションだと思います。

食前であれば、良く冷えたサングリアやドライヴェルモット。寒い冬はグリューワイン(ホットワイン)も美味しいです。爽やかなスパイスやハーブの香りは、食欲のスイッチを入れてくれます。

食中でしたら、ソーダ割りや簡単なカクテルの材料にもなりますし、食後にはデザート代わりや養命酒がわりに、ロックやストレートでリッチなヴェルモットや熟成したオリジナルフレーバードワインの出番です。

家でバーのようなカクテルを作ろうという方は少ないかもしれませんが、カクテルにもひとつひとつ作者の意図と歴史があり、フレーバードワインの名前とカクテルで検索するとたくさん出てくるので面白いかもしれません。

そしてもうひとつは、フレーバードワインのアルコールがやや高く、甘味があるものが多いため長期熟成に向くので、記念年やお子様の誕生祝いのプレゼントにも使えるというポイントがあります。高級なバーなどに行くと時々40年物、60年物のヴェルモットなどが置かれています。それは魅惑的な味わいで、ものすごいお酒に変身しています。

数年後、数十年後に購入した時の思い出を語りながら飲むことができるのも、フレーバードワインを購入のポイントとしていかがでしょうか。

ソムリエが厳選!おすすめの「フレーバードワイン」ランキングTop10

10位 ヴェルモット1757 チンザノ・ロッソ

[限定品] チンザノ 1757 ロッソ ベルモット 16度 1000ml

1757年に、イタリアのトリノの小さなお店から始まったチンザノ社は、ジョヴァンニとカルロ兄弟によって創業されました。当初、地元のワインにスパイス・ハーブを独自にブレンドして製造していた彼らは、時の権力者サヴォイア家の目に留まり公式な納入業者になります。

その後、2度の世界大戦を経た後も愛され続けたチンザノ社でしたが、1999年にカンパリ・グループの傘下になります。このヴェルモット1757は、創業者兄弟に捧げられた特別なシリーズで厳選されたスパイス・ハーブのみを丁寧に漬け込んだ少量生産のハンドクラフトのヴェルモットです。

通常のチンザノのベースラインヴェルモットがシンプルな味わいなのに対して、1757シリーズは香りが複雑で重厚感があり、香草の苦味が素晴らしいバランス。カクテルなどにも、もちろんお使いいただけますが、ぜひロックやストレートでお飲みいただきたい一本です。

9位 ストーンズ・ジンジャーワイン

サントリー ストーンズ ジンジャー ワイン [ リキュール 700ml ]

1740年にロンドンで誕生した、ショウガの根を乾燥粉末に白ワインに入れて樽熟成をして造られる甘く飲みやすいフレーバードワイン。ボトルには、ロンドン市の紋章が付いている由緒正しいワインです。

19世紀ロンドンでは、消化を助け、効果的な媚薬として役立つ薬用強壮歳剤として広く販売されていたのだそう。こういった経緯もあり、現在でもオックスフォード大学の学生をはじめ、ロンドンの人々に愛されています。

ジンジャーエールの辛口をエレガントにしたような味わいで、ロックでもソーダ割りでも、もちろんストレートでも美味しく飲めるのが特徴。アップルパイに入れても美味しいそうですね!

お酒があまり強くない方にもおすすめできる、ロンドンを感じることができるフレーバードワインです。

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ストーンズジンジャーワイン
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8位 デュボネ

デュボネ ルージュ 14.8度750ml

1846年に、フランス人のジョセフ・デュボネによって考案されたフレーバードワイン「デュボネ」。グルナッシュ・カリニァン・マスカットアレキサンドリアといった葡萄品種のワインに、キナノキ樹皮・オレンジ皮・コーヒー豆・スパイスなどを漬け込んだ独特の苦味のある甘めの赤ワインです。

1907年のデュボネの広告には、空想の世界でナポレオン・ボナパルトとポンパドゥール夫人が「デュボネのボトルが数千本あれば、ロシアに勝利していたでしょう」と書かれており、フランス文化と密接に関わっていたことがうかがえるワインです。

フランスを代表するフレーバードワインのひとつとして、ザザ、ソウルキス、ナポレオンといったカクテルなどに幅広く使われています。

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7位 テトラミソス レッツィーナ・ナチューレ

[ギリシャお土産] ギリシャ 白ワイン レッツィーナ

レッツィーナとは、古代ギリシャ・アッティカ地方で生まれたフレーバードワイン。ワインの劣化を防ぐために、素焼きの壺(アンフォラ)の口と蓋の間に松脂を塗って密閉し、この松脂の香りがワインに移ってできたのがはじまりです。

このテトラミソスのレッツィーナは、ギリシャの古代葡萄ロディテイィスのフリーランジュースを使用し、野生酵母で粘土製のアンフォラ熟成で造る徹底ぶり。色は深い黄金、香りは松やミント、熟したグレープフルーツやジャスミンのような香りです。

マスター・オブ・ワインのジュリア・ハーディングも「今までどんなにひどいレッツィーナを試したことがあろうと、このレッツィーナだけは試すべきだ」と言っているほどの名作。

レッツィーナを初めて飲む方はもちろん、レッツィーナにあまり良いイメージがない方にも是非飲んで頂きたい1杯です。

6位 サングリア ロラモラ

ロラ・モラ サングリア (1000ml)

スペインのカタルーニャ地方、バルセロナのサングリア。スペインの太陽で育ったテンプラリーニョ種100%のワインに、フルーツとスパイスを漬け込んだ伝統的なレシピです。

フレッシュでナチュラルな味わいで、一切の人工甘味料や香料を使っておらず、口当たりの良い爽やかなサングリアに仕上がっています。あえて瓶が広口になっており、お好きなフルーツ(オレンジ・レモン・パイナップル・リンゴ)などを、直接入れてオリジナルアレンジを楽しめるように設計されているのも大きな特徴。

アルコールも7%と控えめなので、お酒があまり強くない方にもオススメの1本です。バルセロナの太陽の恵みを感じてみてください。

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ロラ・モラ
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5位 グリューワイン ハウサーズ・ビオ

ハウサーズ ビオグリューワイン 750ml(グリューヴァイン)/ホットワイン

ドイツ・アウグスブルク自然保護区森林の中にある、家族経営ワイナリーのグリューワイン「グリューワイン ハウサーズ・ビオ」。自然の力を大切にしている造り手のため、ビオで造られているワインです。

グリューとは、ドイツ語で赤々と燃えるという意味。飲むと身体と心を温めるワインということで、グリューワインと名付けられました。同商品は、赤ワインにシナモン・クローブ・オレンジなどを入れた、昔ながらのレシピ。

マグカップに注ぎレンジ(500w)で1分。もしくは鍋に入れて、沸騰させない程度に温めてお召し上がりください。ドイツの白く染まった木々と、山々の光景が浮かんでくる「冬の風物詩」と呼ばれるワインです。

4位 リレ アペリティフ・ブラン

リレ ブラン アペリティフ [ 白ワイン 甘口 フランス 750ml ]

1872年、フランスのボルドー南部のポデンサック村で、ポール・リレとレモン・リレ兄弟が造り出したフレーバードワイン「リレ アペリティフ・ブラン」。独自で造ったフルーツリキュールをワインにブレンドした、清涼感と心地良い苦味のある食前酒として愛されている1本です。

85%がワイン、15%が果実や果皮由来の成分で構成されており、数ヶ月間オーク樽で熟成させることにより、花や蜂蜜、オレンジピールやライムなどの複雑に絡み合ったフルーティーな味わいに仕上がっています。

ロックやソーダ割りなどにして、食前酒として楽しむのにも向いている他、映画『007』に登場するカクテル「ジェームズボンド・マティーニ」にも使われる有名なフレーバードワインです。

3位 ビエルム・ロホ・ブランコ ヴェルモット


スペイン北西部・ビエルソの有機葡萄によってつくられたヴェルモット「ビエルム・ロホ・ブランコ ヴェルモット」。シャルドネとゴデージョの2種混合葡萄の有機ワインに、30種類以上の地元のハーブ・スパイスが組み合わさって造られています。中でも、フェンネル・タイム・ラベンダーの古典的なスペインのエッセンスが感じられるでしょう。

スペインの田舎で生まれたこのヴェルモットは、ヨーロッパ各地の国で賞を取っており、中でもブリュッセルの世界競技会では金メダルを獲得した評価の高い1本。

スペインの職人と地元の草花が生み出した、至極のヴェルモット。ハーブのような香り高い味わいが好きな方にはぜひとも飲んでいただきたいです。

その他、黒葡萄のビエルム・ロホもございますので合わせてオススメします。

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2位 アンティカフォルミュラ/カパルノ

カルパノ アンティカフォーミュラ ヴェルモット 1L ■特製缶箱入り

1786年に誕生したヴェルモットの創始者で「キング・オブ・ヴェルモット」と呼ばれている「カパルノ社」。ハーブの専門家アントーニオ・ベネデット・カパルノ氏によって考案されたレシピは門外不出であり、現在も後継者3名のみ知る古のレシピです。

時の王サヴォイア家も御用達ヴェルモットは、今ではあまり使われなくなったニガヨモギもしっかりと使われており、恐ろしいほどの凝縮感と香りの複雑さを生み出しています。そのまろやかさと味わいは、200年以上の長い歴史が織りなす円熟さだと言っても過言ではないでしょう。

ヴェルモットを初めて飲む方は、ぜひこのヴェルモットから飲んでいただきたい、オススメの1本です。

1位 バローロ・キナート/ カペッラーノ

箱入り バローロ キナート(2014) カッペッラーノ500ml(甘口)

様々なフレーバードワインをご紹介いたしましたが、筆者が一番感動したフレーバードワインがこちら。「王のワインにして、ワインの王」であるバローロというワイン(最低3年熟成)にキナノキの樹皮をはじめ、数十種のハーブ・スパイスをブレンドして造られるワインです。

数あるバローロ・キナートの中でも創始者カペッラーノ家のレシピは、一子相伝で守られており100年以上の歴史を誇ります。カペッラーノ社は「バローロ造りの芸術家」と呼ばれている由緒正しいバローロの造り手。2代目の薬剤師でもあるジュゼッペ・カペッラーノ氏により、バローロ・キナートは考案されました。

ヴェルモットにインスパイアを受けて造られたこのワインは、力強くエレガントなバローロの味わいと、特徴的でリッチなスパイス・ハーブの香りが見事に融合しており、余韻がものすごく長い驚きのワインです。

食後にゆったりと楽しむ1杯として、ぜひ一度体験してみてください。

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カッペッラーノ
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食中酒にも食後酒にも!フレーバードワインで素敵な時間を演出

フレーバードワイン

様々なシーンで活躍してくれる「フレーバードワイン」。

日本ではあまり一般的ではないかもしれませんが、ヨーロッパなどでは食中酒や食後酒として幅広く楽しまれています。お酒好きの方はもちろん、友人や大切な人を招くホームパーティーの食卓にある1本として、寝る前の晩酌に用いる1本として。ぜひフレーバードワインを楽しんでみてください。

《石川遼平》

石川遼平

AISイタリアソムリエ協会認定ソムリエ、JSA日本ソムリエ協会認定ソムリエ、CPAチーズプロフェッショナル、SCAJコーヒーマイスター、調理師免許、食育インストラクター 。広尾のイタリア料理店で、ソムリエ兼ホール長として勤務。イタリア文化会館で、1dayのワイン講師の仕事や店でワインやチーズのセミナーも開催してます。2018年イタリアワインベストソムリエコンクール入賞。

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