TOP / お酒を選ぶ / 日本酒 / 日本酒に「醸造アルコール」を入れるはなぜ?本当の理由を教えます!

日本酒には、「醸造アルコール」が添加された日本酒と、添加されてない日本酒の2種類があります。

あまり日本酒に興味がない人だと、「アルコールが入ってる日本酒って安いんでしょ?」、「質が悪いやつだよね」など、なんとなく悪いイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。

近年の純米酒ブームの影響もあるのか、醸造アルコールの使用数量*は、平成23酒造年度~平成27酒造年度(平成23年7月1日~平成28年6月30日)の4年間で、白米1t当たり179.7Lから152.0Lにまで、年々さがってきています。
※アルコール分 100 度換算

純米酒の人気に押されがちな「醸造アルコール」が入ったお酒。
しかし、醸造アルコールが添加されているからこそ味わえるおいしさや役割があるのです。

今回は「醸造アルコール」に対する誤解を解きながら、その役割を解説するとともに、おいしい銘柄をご紹介したいと思います。

醸造アルコールとは

醸造アルコールとは、食用に用いられるアルコールのこと。
化学薬品などではなく、植物由来のもので、主にサトウキビを原料としたお酒です。

この醸造アルコールは香りや味がほとんどないため、日本酒の風味をじゃますることなく添加をすることができます

多くは大手アルコールメーカーが製造・販売し、各蔵元が購入して日本酒に使用するという流れですが、中には醸造アルコールを自分の蔵で作る蔵元も出てきているんだとか!

醸造アルコールは、ほぼ100%の純度のアルコールですが、清酒に加えられる際には30%程度の度数に調整されています。
なお、度数が36%以下になるように調整されたものが、甲類焼酎。チューハイや梅酒を造る際に使われるので、皆さんも知らないうちに飲んでいるかと思いますよ!

わざわざアルコールを入れるのはどうして?

アルコールを添加しないお酒がある一方で、なぜわざわざ醸造アルコールを添加する必要があるのでしょうか。
それは、添加によって得られるメリットがあるためです。

●飲み口がスッキリ・軽快・爽やかになる

醸造アルコールを添加した日本酒は、スッキリとした、爽やかな飲み口のものが多いです。皆さんも飲んだ時に感じたことがあるかもしれませんね。

これは、日本酒に含まれる糖分や酸による雑味の部分を、アルコールが抑える効果があるためとされています。

アルコールを加えたお酒は、いわゆる辛口のものが多いのですが、それはアルコール分30%ほどの醸造アルコールをもろみに加えると、日本酒度が必然的に高くなるためなんです。
ただし、辛く感じるか甘く感じるかは他の要素とのバランスもあるので、日本酒度が高いからといって、一概に辛口ではないので注意してください。

醸造アルコールを添加することでこのように味わいに変化を出すことができるので、日本酒に個性を出すためにも使われているようです。

●フルーティーな吟醸香が際立つ

吟醸酒や大吟醸酒から、華やかでフルーティーな香りを感じたことがないでしょうか?
この香りは「吟醸香」と呼ばれ、醪の中に含まれる成分で構成されています。実はこの成分、アルコールには溶けるものの水には溶けないのです。

醪を搾って酒粕と液体を分離する際、アルコール度数が低いと、香りの成分が液体に溶け出さず、酒粕に残ってしまいます。そこで、高濃度のアルコールを加えることで、香りの成分をお酒に溶け込ませることができるのです。

鑑評会用のお酒は、アルコール添加された大吟醸酒が多いのも、この理由が大きいのではないでしょうか。

●雑菌やカビなどの繁殖を防ぐ

お酒は品質管理をしっかりしないと、雑菌が増えたりカビが繁殖したりする恐れがあります。
こういった腐敗を防ぐ目的で、アルコールが添加されるのです。

さらに劣化も防ぐことができるので、長期間の保存も可能になります。

アルコール添加は江戸時代から行われていた!

日本酒がいつから造られ始めたのか、はっきりとした時期についてはいまだにわかっていませんが、お米の文化が伝わってきた弥生時代には造られていたのでないかとされています。

奈良時代になり、安定してお米を生産できるようになってからは酒を作る組織が国家に設けられて、日本酒は朝廷に献上されるようになりました。
その後、平安時代には神社や寺だけでなく民間でも酒造りがはじまり、室町時代には本格的な酒屋が登場したといわれています。

室町時代の段階で、原料のお米を生産したり、醪を濾して酒粕と清酒に分けたり、殺菌のために加熱処理を加えたりと今の日本酒造りの原形がすでに出来上がっていました
日本の酒造りの技術は世界的に見てもかなり進んでいたとされています。

江戸時代に入ると、産業としての酒造りがますます盛んになりました。
その中で、酒の品質を安定させ、腐敗を防ぐことが必要になり、アルコール添加が始まったとされています。
当時は現在のような醸造アルコールではなく、酒粕からつくられた粕取焼酎や、本格焼酎などが使われていたようです。

意外にも添加アルコールの歴史は長いのです。

悪いイメージはどこから?

上記のように、明確な目的があり、さらに歴史も長い醸造アルコールですが、どうしてネガティブなイメージをもたれてしまのでしょう?

それは、過去に行われていた「三倍醸造」にあるようです。

米不足対策で普及した三倍増醸酒

三倍増醸酒(三増酒)」とは、戦後の米不足の状況下で生まれたお酒。
米からできたアルコールの約2倍にもあたる醸造アルコールを添加、さらには甘味料や酸味料を加え、結果的に3倍に水増しされて造られた日本酒のことです。

当然品質はよくありませんが、低コストで大量に生産できることや、米不足のため低精白で雑味の多い純米酒より三倍増醸清酒が好まれるなど、戦後しばらくは普及し続けました。

現在は酒税法の改正により、3倍まで増量できなくなっているので、このようなお酒が「清酒」として出回っていることはありません

でも悪酔いするんじゃないの…?

醸造アルコールが入っていると悪酔いする、という話を耳にすることもありますよね。しかし、「醸造アルコールが入っている=悪酔いする」ということはまずないでしょう。

醸造アルコールの正体は甲類焼酎、つまり梅酒やサワーに使われているものと同じです。

三倍増醸酒のイメージから、「アルコールが添加された酒=質が悪い=体に悪い」のようなイメージがついてしまったのではないでしょうか。
現在では、アルコール添加は味わいの調整のために行うものなので、アルコールを添加して日本酒の方が度数が高いといったこともありません

※火入れと加水を行っていない生原酒に関してはアルコール添加されたものの方がアルコール度数が比較的高くなります

醸造用アルコールを避けることよりも、飲む量やその日の体調に気を配ってお酒を楽しむことが大切ですね!

醸造アルコールを使用した日本酒の種類とは

醸造アルコールを使用した日本酒について知るためには、まず基本となる日本酒の種類やその定義を理解することが大切です。

まず、日本酒は大きく分けて「特定名称酒」と「普通酒」の2つに分けられます。特定名所酒とは、ラベルに「純米」や「吟醸」といった書かれた日本酒のことで、原料や製造方法によって8つの種類に分けられます。

普通酒とは、特定名所酒に該当しない日本酒のことを指します。しかし、あくまでも特定名所酒以外の日本酒を呼ぶ際の通称なので、酒屋さんやスーパー、デパート等で売られている日本酒に普通酒と記載されているわけではありません。

醸造アルコールを使用している特定名称酒は「本醸造酒」と「吟醸酒」

特定名称酒は、主に「純米酒」と「本醸造酒」、「吟醸酒」の3つに分けることができ、そのうち醸造アルコールを添加している日本酒は、本醸造酒と吟醸酒の2つになります

純米酒は、お米と米こうじ、水だけで作られる日本酒ですので、醸造アルコールを使用していません。

本醸造酒と吟醸酒の違い

本醸造酒と吟醸酒は、醸造アルコールを使用している点は同じですが、「精米歩合」と「製法」が異なっており、名称が分けられています。

本醸造酒は精米歩合が70%以下ですが、吟醸酒は精米歩合が60%以下と決められています。また、吟醸酒は、通常よりも低音で長期間発酵させる「吟醸酒造り」と呼ばれる製法で作られた日本酒であることも条件となります。

ちなみに、後ほど説明しますが、精米歩合が60%以下の本醸造酒は、「特別本醸造酒」と呼ばれます。

醸造アルコールが使用されているお酒の特徴

醸造アルコールが添加されている日本酒をまとめると、本醸造酒と吟醸酒、普通酒の3つになります。本醸造酒と吟醸酒は、さらに「特別本醸造酒」と「大吟醸酒」分けることができます。

本醸造酒の特徴

本醸造酒は、精米歩合が70%以下で、醸造アルコールを添加して作られる日本酒です。使用できる醸造アルコールの量は決められていて、使用するお米の重量10%までです。普通酒と比べて少ない添加量となっています。
本醸造酒は、醸造アルコールの添加によって味のバランスが整えられており、キレのあるシンプルな味わいが特徴です。

特別本醸造酒の特徴

特別本醸造酒は、精米歩合が60%以下で作られた本醸造酒、または特別な製法を用いて作られた本醸造酒のことです。特別な製法に関しては明確な基準はなく、蔵元の裁量に委ねられています。
特別本醸造酒は、本醸造酒よりお米を磨いているため、キレのあるスッキリとした味わいを楽しむことができます。

吟醸酒の特徴

吟醸酒は、精米歩合が60%以下で、吟醸造りで作られた日本酒です。10度前後の低音で長い時間をかけて発酵させる吟醸造りによって、「吟醸香」と呼ばれる芳醇な香りとフルーティーな味わいが楽しめる日本酒になります。

大吟醸酒の特徴

大吟醸酒は、精米歩合が50%以下の吟醸酒のことを指します。原材料と製法は吟醸酒と同じです。
手間をかけて吟醸酒よりもお米を磨いているので、より芳醇な香りとフルーティーな味わいになっています。

普通酒の特徴

普通酒は、醸造アルコールが添加されている日本酒で、特定名称酒に該当しないお酒を指します。基本的に、ラベルに「純米」「吟醸」「本醸造」と記載のないものは普通酒にあたります。くせの少ない味わいで飲みやすいのが魅力です。

醸造アルコール使用のおすすめ銘柄

醸造アルコールが含まれているお酒は、「普通酒」「本醸造酒」「特別本醸造酒」「吟醸酒」「大吟醸酒」が該当します。

「普通酒」だけは、醸造アルコールの使用割合が白米の総重量の10%以上のものもありますが、他は10%未満なのが特徴です。

ここからは、醸造アルコール使用のおすすめ銘柄をご紹介!
お手頃な価格で手に入るお酒も多いので、以下を参考に色々と飲んでみてください。

◆初亀 急冷美酒 普通酒 (初亀醸造)

山田錦を使用した普通酒の初亀です。急冷美酒とは、瓶詰めの時に機械で急冷することから来ています。

生酒の良さが残っているのが特徴。香りは穏やかで、どんな料理にもあいます。

冷でも燗でも楽しめる日常酒の定番です。
家に常に一本置いておくとしたら、この初亀を選べば間違いないでしょう。

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◆黒松剣菱 普通酒(剣菱酒蔵)

濃厚な香りと存在感のある旨みが特徴の普通酒です。口内にまろやかなコクが広がります。重いお酒なのではと思うかもしれませんが、鮮やかなキレがあり、余韻は上品。

黄色い色からもわかるように、米の味わいが引き出された商品です
。熱めにつけると口当たりがキリっとし、甘みが徐々に広がっていく様が楽しめます。

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◆八海山 特別本醸造(八海醸造)

全国的に有名なお酒「八海山」。辛口好きの人なら一度は飲んだことがあるのではないでしょうか。

本醸造ながら角がとれた柔らかな口当たりで、淡麗でキレのある味わいです。
繊細な料理の味も邪魔しないので、刺身など淡泊な和食にもぴったりです。

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◆出羽桜 桜花 吟醸酒(出羽桜酒造)

上記のお酒は、なんとなく無骨で飾らない印象を受けた人もいるはず。一方で、この「出羽桜」はいわゆる”フルーティーな香り"がするお酒の先駆け的な存在で、多くの女性たちを魅了してきました。

辛口の日本酒ですが、口の中でふわっと香る甘酸っぱい香りが心地よいお酒。
2015年、2016年のIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)で賞をとっているなど、世界からの評価も高いです。

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◆一ノ蔵 無鑑査 本醸造 甘口(一ノ蔵酒造)

「なんだよ!辛口ばっかじゃないか!」と思ったあなたにおすすなのが、一ノ蔵無鑑査本醸造甘口。軽快な甘味と爽やかなコクが特徴の本醸造酒です。

醸造アルコールを添加するとどうしても辛口のお酒になりがちなのですが、こちらのお酒は日本酒度-5~-3の甘口になっています。
香りは柔らかく落ち着いており、のど越しはさわやか。甘口派の方はこちらをお試しください。

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一ノ蔵
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まとめ

今回は醸造アルコールについてご紹介しました。
ネガティブなイメージをもたれがちですが、実は日本酒の味わいや香りを引き出すためにも使われているんです!

醸造アルコールの入った美味しいお酒は、上記で紹介した以外にもたくさんあります。飲まず嫌いをやめて、色々な銘柄を試してみたら、きっと日本酒の世界が広がると思いますよ!