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「酒造りではなく“文化造り”」新進気鋭の日本酒醸造家・WAKAZEの今井さんが語る日本酒の未来

洋食とペアリングするために作った《ORBIA》や、発酵中にボタニカル素材を入れた新ジャンル《FONIA》など、これまでにないスタイルの日本酒を委託醸造で創ってきた日本酒ベンチャーWAKAZE。

そんなWAKAZEが、醸造所併設のバー「Whim SAKE & TAPAS」を三軒茶屋にオープン!これまで全てを委託醸造で生産してきた中、ついに自家醸造を行うことを発表しました。

今回、自家醸造を始めるにあたり、創業メンバーであり醸造技術担当の今井翔也さんに、その想いや今後の展望を詳しく伺ってきました。

週末起業から始まったプロジェクト「WAKAZE」

△WAKAZE醸造技術担当の今井翔也さん

-今井さんは実家が日本酒の蔵元さんだったんですよね?同じ日本酒業界でも、実家を継ぐという選択肢はなかったんですか?

今井さん:群馬県の「聖酒造」という酒蔵を運営する家族の4人兄弟の末っ子として生まれました。元々日本酒に近い環境で育ってきましたが、蔵は長男が8代目として継ぐことが決まっていましたので、私自身造り手になる予定はなかったんです。

しかしながら、食関連の事象にはとても興味があって大学時代には「メタボリックシンドローム」を食で解決する研究に打ち込んでいました。

-そんな中、日本酒ベンチャーのWAKAZEに参加されるわけですが、どのような経緯があったのでしょう。

△今井さん(左)と代表の稲川さん(右)

大学を卒業して、最初は食品関連のベンチャー企業に2年半ほど勤めていました。その中で代表の稲川に出会い「日本酒でおもしろいことをしよう!」という話で盛り上がるようになったんです。当時は、週末起業のような形で土・日や平日の夜に集まって活動をしていましたね。

ノルウェーの酒蔵で衝撃を受け酒造りに取り組む決意を固める

△三軒茶屋にできた醸造所でお酒造りを行なう今井さん

-サラリーマンを辞めて、WAKAZEの活動に専念するようになったのには何かきっかけがあったんですか?

今井さん:週末起業を続ける中で、代表の稲川とヨーロッパへ視察に行ったんです。その時に訪れたのが、ノルウェーの裸島(ヌウグネ)にある「Nøgne ø(ヌグネ・エウ)」というヨーロッパ初の酒蔵でした。元々はクラフトビールを造っていて、2010年頃から日本酒も生産している面白いマイクロブルワリーなんですが、本当に素朴で小さな蔵だったんです。

△日本酒造りでは大量のお米を使います

ヨーロッパで海外の方が、限られた設備のみで日本酒を造っている。レシピも製造も試行錯誤の中で、努力している彼らの姿を見たときに、どこか背中をおされた自分がいたんです。

ヨーロッパ視察で大きな影響を受けて日本に帰ってきたのですが、そしたら平日サラリーマンとしての仕事が全く手につかなくなってしまって(笑)帰国して、2ヶ月で会社を辞めることになったんです。

Google検索から始まった!?名門「新政酒造」での修行

-会社を辞めるまでのスピード感にも驚きましたが、これまで酒造りの経験がない中で「造り手」になるという選択をされたことも中々できない決断ですよね。

今井さん:WAKAZEとして日本酒を造る上で、将来的に誰かが造り手にならなくてはなりませんよね。そうなった時、やはり実家が酒蔵をやっているということもあり、自分が造り手となるべきだと感じたんです。酒蔵で修行しようと考えるようになりました。

-酒蔵に生まれたことの宿命を感じますね(笑)最初の修行先としては、有名な「新政酒造」を選んだそうですが、元々のお知り合いだったんですか?

今井さん:いえ!単純に「新政酒造」が好きなだけで全くツテがない状態でした。Googleで代表電話を検索して、 “修行させてください!!”っていきなり電話したんです(笑)今考えたら、迷惑極まりないですよね(笑)

-え!?そんな急に電話してOKもらえるんですか!?漫画の世界じゃないですか(笑)

今井さん:いやいや、もちろん電話では門前払いされました。電話対応をしてくれた杜氏の古関さん(現在の師匠にあたる)は、話を全部聞いてくれたんですが基本的には丁重にお断りされてましたね。メールのやり取りも何度かさせていただいたのですが本気度を試すために、結構キツイ事を言われたりもして……。それでも長文で自分の思いの丈を伝えて……本当に地道なお願いを続けていたんです。

-そうですよね…..。むしろ話を聞いてくれただけでも凄いですよ(笑)そこからどんな展開で修行させてもらえることになったんですか?

今井さん:いい返事がもらえなかったので、諦めかけていたんですが、ある日非通知で電話がかかってきて、出てみると「新政酒造」の社長だったんです!驚きですよね(笑)

ただ、ここで逃したら社長と話す機会がないと思い、直接会いたいとお願いしたら「明日の昼3時からならいいよ」と言っていただき、翌日朝イチの新幹線で秋田に向かいました。

そこで、直接お願いしたら呆気なく「いいよ」という返事をいただけて、そのまま2年間修行させていただくことになったんです。

-話を聞いてみると、本当に漫画みたいな展開ですね(笑)

今井さん:結果としては、2年間「新政酒造」、その後富山県の「桝田酒造店」、新潟の「阿部酒造」、そして実家の「聖酒造」と4つの蔵で修行させていただきました。

蔵ごとに規模も特色も違ったので、全ての面で勉強になりましたし大きな影響を受けています。

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