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【酒好きなら知っておきたい豆知識】日本酒の「こす」と「濾過」の違いとは?

みなさんは日本酒における「こす」と「濾過」の違いを知っていますか?? 実際に小学館の類語例解辞典によると、「こす」とは『液体などを、細かなすき間のできている物に通して、ごみ、不要な物を取り除く。濾過(ろか)する。「漉す」 …

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みなさんは日本酒における「こす」と「濾過」の違いを知っていますか??

実際に小学館の類語例解辞典によると、「こす」とは『液体などを、細かなすき間のできている物に通して、ごみ、不要な物を取り除く。濾過(ろか)する。「漉す」「濾す」とも書く。』と書かれています。

ここまでだと、こすと濾過はほとんど同じ意味のように思えます。

しかし、日本酒の世界では「こす(濾す)」と「濾過」にはハッキリとした違いがあるんです。

ということで今回はこの2つの違いについて詳しくご紹介していきます。

日本酒の「こす(濾す)」とは


酒類の製造方法の一つである「こす」とは、その方法のいかんを問わず酒類のもろみを液状部分とかす部分とに分離するすべての行為をいう。 出典:国税庁HP

これは国税庁が酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達で定義した、「こす」という意義です。

文章が少しややこしいので簡単にすると、「もろみを原酒と酒粕に分ける」こと。

もろみとは、「水・蒸米・麹・酒母」をタンク内に投下して発酵させる、いわば日本酒になる前段階のどろっとした液体を指します。
また、もろみを濾してないものは「どぶろく」と呼ばれています。

ちなみに酒税法ではこのもろみをこしたものを「清酒」と定義しています。

つまり「もろみを原酒と酒粕に分ける」という「こす」作業を行うことで清酒=日本酒が出来上がるということですね。

「無濾過」表記のお酒は日本酒じゃない!?


「もろみを原酒と酒粕に分ける」という「こす」作業を行うことで清酒=日本酒が出来上がるとご紹介しました。

「こす=濾過」だと思っていると「無濾過って書いてある日本酒はこしてないから日本酒って言えないのでは…?」と思ったはずです。

実際に以前東北地方の国税局担当官が「日本酒の定義は『こす=濾過』であり無濾過という表記は日本酒ではない」という勘違いをしてしまったために、管轄内の蔵元にラベルに無濾過と書かないように指導してしまったというお話もあります。

結論から言うと無濾過と書かれている日本酒も立派な日本酒です。

それでは日本酒の「濾過」とはどのような意味なのか見ていきましょう。

日本酒の「濾過」とは



濾した後の原酒をそのまま商品化することもありますが、大抵は「おりびき」という作業を行います。

おりびきとは、濾した日本酒に残っている小さな米の欠片や酵母などの浮遊物(おり)を数日間置き、下に沈ませる作業のことを指します。

おりびきの後に、さらに残っている不純物を取り除く工程があります

この工程が日本酒の「濾過」です

ここでいう不純物とは、小さな粒子や雑味の成分、さらに品質劣化の原因となる物質を指します。
濾過をすればするほど濁っていた日本酒が透明になり、雑味もなくなっていきますが、やりすぎてしまうと日本酒の旨み成分までなくなってしまうので注意が必要です。

ここで、「こす」と「濾過」の違いを整理してみると

「もろみを原酒と酒粕に分ける」工程が「こす」

「おりびきの後にさらに不純物を取り除く」工程が「濾過」

です。

こすと濾過の意味は全く違うということがわかりますね。



濾過の方法の違い


実は日本酒の濾過の方法は2つあります。

⚫︎炭素濾過(炭素濾過、活性炭濾過)


1つはお酒に粉末状の活性炭素を入れて濾過機を通す方法です。

活性炭は脱臭や水質浄化などの効果が知られていますが、実際に食品処理、化学薬品、医薬品、環境保全事業などにも使われています。

この活性炭素の粉末を使用することで、日本酒に含まれる余分な雑味や色味を吸着させ、すっきりとした味わいのきれいなお酒を作ることができます。

⚫︎素濾過


もう1つは活性炭素を使わずにお酒をそのまま濾過機を通す方法


この濾過機には珪藻土(けいそうど)やろ紙、カートリッジ式のフィルター、木綿など様々な種類があります。

素濾過の場合、炭素濾過よりもお酒の香りや味わいなどが残りやすいので、芳醇な香りと濃厚な味わいになりやすいでのす。

このように、濾過の方法によって香味が変化します。

無濾過の定義が変わってきた



近年、「無濾過」とラベルに書かれた日本酒をよく見かけますが、無濾過とは言葉の通り「濾過をしていない」お酒のことです。

しかし、「素濾過のお酒」のことを「無濾過」と表示しているお酒が多いようです。「無濾過」というものに明確な定義がないため、何が正解で何が間違い、というものはありません。

ちなみに、素濾過も行わない日本酒は「完全無濾過」としていることもあります。

また、銘柄によっては“完全無濾過 滓引き前生原酒”や“素濾過生原酒”と表記してあるなど、濾過と無濾過をしっかりと区別して差別化を計っている酒蔵もあります。

まとめ


今回は日本酒の「こす」と「濾過」の違い、また濾過の方法や無濾過についてもご紹介しました。

辞書では同じような意味でも日本酒の世界では意味が異なるということがお分かりいただけたでしょうか。

日本酒はややこしい部分が多く、難しいお酒だと思ってしまいますが、1つ1つ見ていけばそこまで難しいものではありません

少し知識があるだけで、日本酒をより美味しく感じられる他、自分好みの日本酒を選ぶ時の参考になったりもします。

ぜひ日本酒について楽しく勉強して今以上にお酒ライフを満喫してみてくださいね!

お酒の情報サイト「NOMOOO(ノモー)」は「今日の飲みたいを見つける」をコンセプトに、お酒に関する情報を更新しています。

《三寺悠仁》

三寺悠仁

高知県の酔鯨酒造で2年間蔵人として勤務、現在はKURANDの商品開発に関わる日本酒のプロ。日本酒の素晴らしさを世に伝えるべく、日夜活動中。

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