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ワイン選びの基準!?ワインの採点「パーカーポイント」を徹底解説

ワインをたしなむようになると、何となく目にするようになる「パーカーポイント」という言葉。最近では、ワイン本やワインショップなどの紹介文のでもよく見かけるようになりました。 パーカーポイントとは一体何なのか?また、美味しい …

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ワインワインをたしなむようになると、何となく目にするようになる「パーカーポイント」という言葉。最近では、ワイン本やワインショップなどの紹介文のでもよく見かけるようになりました。

パーカーポイントとは一体何なのか?また、美味しいさやワインセレクトの判断基準になり得るのだろうか?意外に知らない「パーカーポイント」の概要や指標の中身について見ていきましょう!

パーカーポイントとは?


パーカー・ポイントとは、世界的に有名なワイン評論家の一人、ロバート・パーカー氏が自身のテイスティングを基にスコアリングしたワインの評価のこと。現在では、新たなワインの格付け指標となっています。(Parker Point:PPと略されることも)。

特筆すべきは100点満点で採点するというなじみやすさにあります。誰が見てもわかりやすいというのがこのスコアの素晴らしさなのです。

さらにこの採点は、ロバート・パーカー氏が一人で行なっているというのもポイントの一つ。

パーカーポイントの生みの親、ロバート・パーカー氏について

ロバート・M・パーカー・Jr.(Robert M. Parker, Jr.、1947年7月23日 - )は、アメリカ合衆国メリーランド州ボルチモア生まれのワイン評論家。“神の舌を持つ男”と呼ばれ、世界で最も影響力のあるワイン評論家と言われているそうです。

ロバート・パーカー氏は大学卒業後、11年間弁護士として務めながらワインに関する記事を書き始めます。1960年代に、自身の妻とフランスを旅行した際にワインの美味しさ気づいたことがきっかけなんだそう。

彼が書く記事は、歴史や美術についての造詣が深く、さらに弁護士として冷静に評価する技術を兼ね備えている――これがパーカーポイントを生み出すベースとなったと言えそうです。

評価誌「ワインアドヴォケイト誌」を出版

もともと大のワイン愛好家である彼は、ワインに関する記事のライティングが高じて、1978年には"The Baltimore-Washington Wine Advocate"(後に"The Wine Advocate(ワインアドヴォケイト誌)"と改名)の発行を開始。

これはワイン小売業者向けのニュースレターで、彼が編集長を務めていました。

訳あって彼は2012年にその座を退いていますが、この誌面にパーカーポイントとテイスティングコメントを掲載しています。

パーカーの指標がお墨付きの理由

同誌は約5万部という小規模発行部数ではあるものの、取材と掲載記事にはポリシーがありました。

記事の中立性を高めるため、ワイン産地への旅行費用は自身が負担し、生産者やワイン業者からは接待を受けないことを表明すると同時に、広告もとらないという姿勢を貫きました。

つまり、読者からの購読料だけが収入源というわけ。その結果、第三者による利益享受などの介入がなく、彼のテイスティングのみが指針となる仕組みに。誌面は彼の独壇場であったのです。

こうした姿勢は圧倒的にワイン業者・消費者に支持され、絶大な信頼を獲得。
愚直なまでのぶれないワインへの探究心が彼のテイスティング能力の高さとあいまって、パーカーポイントの信頼性を高め、影響力を絶対的なものにしていくのです。

パーカーポイントはどんな人が使っているの?

パーカーポイントは、ザ・ワインアドヴォケイト誌の購読者である飲食店やワイン輸入者などの個人会員に使用されています。

彼らはザ・ワインアドヴォケイト誌のパーカーポイントをはじめ、誌面のテイスティングコメントやデータベースを元に、どのワインを仕入れたら良いのかを選んでいるのです。

また、法人会員(PPで評価されたワイナリーなど)の場合はPPの評価やコメントを自社製品の広告に活用することができ、売り上げの補助としても利用しています。

気になる指標の中身とは?


上記でも紹介したように、パーカーポイントは100点満点で採点。
各銘柄を熟成時、瓶詰め後、瓶熟成後でフェーズを替え評価します。

度重なる試飲によって採点するため、熟成の進み具合によっては最初のスコアと変わってくる可能性もあるようです。

点数構成

パーカーポイントは、味わい20点、香り15点、熟成度などを見る全体的な質が10点、色などの外観が5点、そして基礎点50点の100点満点で構成されています。(この基礎点というのは、通過点のようなもの)

ロバート・パーカー氏は全世界すべてのワインを評価するわけではありません。パーカー氏ひとりでテイスティングを行なっているので、物理的にも身体が持ちませんよね、そこでザ・ワインアドヴォケイト誌でテイスティングに資すると判断されたものだけを採点するのです。

つまり、評価に値すると判断された時点で基礎点50点が与えられるというわけ。

スコアの見方

スコアリングは次のようになっています。

100点~96点 Extraordinary 【格別】
深遠で複雑な個性があり、その品種で作られる古典的なワインに期待される、あらゆる属性を見せている。これほどのワインであれば、特別な努力を払っても探し・購い・飲む価値があると思う。

95点~90点 Outstanding 【傑出】
格別の複雑さと個性がある、すばらしいワインだと思う。

89点~80点 Above Average to Excellent 【かろうじて並以上から優良】
程度はさまざまながらフィネスや味わい、個性を見せており、気になるような傷はない。

79点~70点 Average 【並】
見るべきものはほとんど無いが、作りは健全。早い話が短刀直入で無味乾燥なワイン。

69点~60点 Below Average 【並以下】
気になる欠陥があり、酸やタンニンが過剰だったり、味わいが欠如していたり、ひょっとすると不潔な香りや味わいがあるかもしれない。

パーカーポイントの影響によって変化したワイン業界!メリット・デメリット

パーカーポイントは駆け出しのワイン初心者や、ワインに詳しくない消費者にとってわかりやすい評価基準であることから、その影響力は絶大!ワイン業界では最も影響力をもつ指標の一つとされています。

そんなパーカーポイントのメリット・デメリットはなんでしょうか?

メリット

パーカーポイントの良い点と言えば、初心者にわかりやすいガイドライン的なものとなる点です。スコアが高い=ワインとしての味わいが深いので、どういう味がワインでいう所の芳醇で深みのある味なのかを確認することができます。

最近では格付けよりも、パーカーポイントによるワインの人気具合はもちろん、販売価格までもが左右するほどになっています。
しかしこれはメリットの反面、デメリットの要素にもなります。

シンデレラワインの出現

パーカーポイントは、高いワインにのみつけられる点数じゃありません。パーカーポイントが高かったことにより、それまで無名だったワイン・醸造家だったものが急にトップワイン・トップ醸造家になるという現象も発生したのです。それが「シンデレラワイン」と呼ばれる存在。

それまで、あまり知られていなかったワインがロバート・パーカー氏に認められ、パーカーポイントで高得点を取得。これにより、流通価格が瀑上がりし一気にトップ入りを果たす。こういったワインのことをシンデレラワインといいます。

そんな無名のワイン醸造家を数多く見出した点も、ロバート・パーカー氏及びパーカーポイントの功績・メリットだと言えるでしょう。

デメリット

あまたあるワイン評論の中で、特別強い影響力を持ち始めたパーカー・ポイントを、マーケティング上で有利に働かせようとする動きがないわけではありません。

そのためワインの味わいがパーカー氏の好みによってしまい、画一化されることが心配点として挙げられるのです。

パーカリゼーション

その1つが「パーカリゼーション」と呼ばれる動きです。

「パーカーポイントで高い点数を獲得すれば売れる」という現象を目の当たりにした生産者たちは、パーカーポイントを取りやすいようなスタイルのワインを造るようになっていったのです。

いわゆる“パワフルなワイン”と呼ばれるワインで、飲んだ時の印象が非常に強いため市場でも人気を博しています。こういったワインが多数作られたことによって、「同じようなワイン」がたくさん生まれたという弊害があったのは一種のデメリットと言えるかもしれません。

とはいえ、長年培った確かなテイスティングの数値化は、ワインの格付けにとって革新的かつ斬新なもの。歴史や由緒にあぐらをかき、努力をしないワイナリーやシャトーにはよい薬になったことは違いありません。

パーカーポイントの中には高いスコアを保持しながらも、値段がそれほど高くないワインもたくさんあります。それがまた、スコアの信ぴょう性と消費者への貢献が高く感じられるポイントなのかも知れません。

日本酒にまでパーカーポイントが導入されている!?

パーカーポイントが採用された日本酒

実は日本酒にもパーカー・ポイントが導入されていることをご存知でしょうか?

2016年9月に始まったこの制度、果たして日本酒になじむものなのかちょっと疑問はありますよね。

というのも、ワインと違って日本酒はヴィンテージ(年)による出来の違いが少ないため、毎年出来具合が変わります。そのためPPで毎年採点されるかどうかもはっきりしていないのです。

ちなみにテイスティングはロバート・パーカー氏ではなく、ザ・ワインアドヴォケイト誌の評論家の中でも特に日本酒に造詣が深いとされるマーティン・ハオ氏によるものだそうです。

さらに、 発表されたのは厳選された800銘柄のうち90点以上をつけた78銘柄となっています。

パーカー・ポイントとのつきあい方


ワインの価格をも左右するパーカー・ポイントは、ワイン業界では無視することができない重要な指標になりつつあります。

パーカー・ポイントで高得点をつけたワインの質が良いのは言うまでもないでしょう。しかし、いくら正確なテイスティングによる重要な指標だからといって、すべての人にとってそれがあてはまるかと言われるとそれは違います。

なぜならそれはパーカー氏の一人の味覚だから。つまるところ、人それぞれ味覚は大きく異なり、何をおいしいかと思うかは十人十色なのです。

パーカー・ポイント、この数値を絶対的な基準にはしないで、ワイン選びに迷った時の参考にする程度が良いかもしれませんね。

《ワキヤ》

ワキヤ

日本酒を愛する元バンドマン。趣味は昼から飲むはしご酒。よく千住で一人酒してます。

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