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あのお菓子もここから生まれた!?ワインの製造工程「コラージュ(清澄)」を解説

ワインを製造する上で行われる「コラージュ」をご存知でしょうか? コラージュは、ほとんどのワインで行われている製造工程です。 実は、コラージュをする際に余った材料で、あるお菓子が作られているんですよ!!今回は、ワイン製造で …

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ワインを製造する上で行われる「コラージュ」をご存知でしょうか?

コラージュは、ほとんどのワインで行われている製造工程です。

実は、コラージュをする際に余った材料で、あるお菓子が作られているんですよ!!今回は、ワイン製造で欠かせないコラージュ、そしてコラージュによって生まれたあるお菓子について解説していきます。

ワインの製造工程「コラージュ(清澄)」とは


コラージュの作業と目的

「コラージュ(清澄)」とは、瓶詰前のワインに清澄剤を加えて浮遊物などを取り除く作業

発酵を終えたワインというのは、ブドウの果実に由来するペクチンやポリフェノールといった物質や酒石、たんぱく質などの不純物によって濁っています。

それを取り除くために、まずはワインを静置させて浮遊物を沈殿させ、上澄みの液体だけを別の容器に移し替える「スーティラージュ」という作業を行なうのです。

一般的なワインの製造工程においては、その後さらにワインの液体をきれいにするために「コラージュ」が行なわれ、最後に濾過され瓶詰めされています。

こうして、透き通った色のワインができるのです。

コラージュしないワインもある

「コラージュ」の作業は、必ずしもすべてのワインで行なわれるわけではありません。
なかにはあえて「コラージュ」を行わない「ノン・コラージュ」と呼ばれるワインもあります。

このようなワインは、不純物によって少し濁った色をしています。

しかし、不純物だからといってワインにとって害悪になるわけではありません。不純物の中にはワインのうまみ成分も含まれているからです。
そのため「ノン・コラージュ」のワインは、通常のワインに比べ、より複雑味のあるワインになります。

ただし、ワインに酵母などの微生物が残っているため、瓶内でワインが変質してしまう恐れもあり、保管方法にも通常のワイン以上に細心の注意を払わなければなりません。

代表的な清澄剤


「コラージュ」の作業で使用される清澄剤にはどのようなものがあるのでしょうか。以下、代表的なものをご紹介します。

卵白

ボルドーなどで伝統的に使用されてきた清澄剤が「卵白」

新鮮な卵の白身を「ボンタン」とよばれる木製の器で撹拌し、ワインの中に入れて再度撹拌します。
そうすることで、卵白が不純物と結合して液体の底に沈んでいくため、ワインがよりクリアになるのです。

ゼラチン・ベントナイト

卵白以外に使用されることの多い清澄剤が、ゼラチン・ベントナイトの2つ。

ベントナイトとは粘土質のパウダーで、水を加えるといわゆる粘土になります。

ゼラチンもベントナイトも、ワインに加えると微生物などの不純物を付着させながら液体の底に沈んでいくため、上澄みの液体だけを別の容器に移し替えれば不純物を取り除くことができます。

「コラージュ」から生まれたボルドー銘菓とは


コラージュで余った卵黄を有効活用!

先述したように、ボルドーでは伝統的に卵白を清澄剤として「コラージュ」に使用してきたという歴史があります。

では、残りの卵黄はどうしていたのでしょうか?
実は、それを有効活用するために誕生したお菓子があるのです。それが、ボルドー銘菓の代表格ともいえる「カヌレ」

今でもボルドーで愛され続けるカヌレ

外側はこんがりさくさく、中はもっちりとした独特の食感のカヌレ。
何年か前に日本でも大ブームが巻き起こったので、召し上がったことのある方も多いのではないでしょうか。

カヌレとは「溝のついた」という意味で、その名の通り表面に段々がついているのも特徴です。
「コラージュ」で大量に卵白を使用するため、余った卵黄を活用するために作られるようになりました。

現在でもカヌレはボルドー銘菓として、地元の人たちや観光客に愛されています。

まとめ


ワインをきれいにするために行なわれる「コラージュ」は、透き通ったワインを造るためには欠かせません。

そんな「コラージュ」という製造工程が、実はボルドー銘菓のカヌレの誕生のきっかけになっていたなんてちょっと意外ですよね。

ぜひ皆さんも、今度カヌレをいただくときはボルドーのワインと一緒に召し上がってみてはいかがでしょうか?

《石関華子》

石関華子

埼玉県出身、高知県在住。一児の母。 ㈱三越(現:㈱三越伊勢丹)日本橋本店の洋酒担当を経て、2016年、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの資格を取得。 現在は高知県内のワイナリーのアドバイザーやワイン検定の講師を務める一方、ワインに関連する記事やコラム等の執筆も多数手がけている。 2019年、日本ソムリエ協会高知支部副支部長に就任。

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