ホーム > コラム > 知識・雑学 > 【ソムリエコラム】その甘さはまるでデザート!「貴腐ワイン」の魅力を徹底解説
2018.12.26
ワイン

【ソムリエコラム】その甘さはまるでデザート!「貴腐ワイン」の魅力を徹底解説

甘口のデザートワインの中でも、特に希少で高価な「貴腐ワイン」というものがあるのをご存知でしょうか?

琥珀色の外観と濃厚な甘さ、独特の芳醇な香りなどが特徴です。その蜜のような甘さに、病みつきになってしまう人も少なくはありません。

貴腐ワインとは

貴腐ワインとは、貴腐菌の働きによって糖度が高くなったブドウから造られる甘口ワインを指します。

実は貴腐ワインはどこでも生産できるものではなく、ある決まった条件が揃ったところでしか醸造できません。

まずは、貴腐ワインについて解説していきます。

貴腐菌について

貴腐ワインに使われる貴腐菌は、ボトリティス・シネレアというカビの一種。通常、この菌がブドウに付着すると灰色カビ病と呼ばれる病害を引き起こし、ブドウを腐敗させてしまいます。

しかし特殊な気候条件の揃った地域では、この菌がブドウの果皮を溶かして果実の水分を蒸発させるので、ブドウが干しブドウのような状態になり、糖分が凝縮されるのです。

こうして糖度が高められたブドウのことを、貴腐ブドウといいます。

貴腐ワインが希少な理由

貴腐ブドウが育つ環境はごくわずか!

貴腐ブドウが育つ気象条件は、夜に湿度が高くなり、日中はある程度の日差しがあることなど。
乾燥していると貴腐菌は繁殖せず、逆に湿度が高すぎると灰色カビ病の原因となってしまうからです。

このような条件が揃っているような場所は、後述する世界三大貴腐ワインの産地をはじめ、世界でもほんのひと握りしかありません。

貴腐ブドウが育たないときもあるの?

たとえ貴腐ブドウの育ちやすい地域であったとしても、毎年貴腐ブドウが育つとは限りません。

ブドウに貴腐菌が付着しなかった年は、貴腐ワインを生産せずに、通常の辛口の白ワインを生産することもあります。

このように、貴腐ワインはわずかな地域でしか生産できないことに加え、安定的に生産することもできません。それが、希少性の高さにつながっているのです。

世界三大貴腐ワイン

世界三大貴腐ワインには、次の3つが挙げられます。

ソーテルヌ

ソーテルヌはフランスのボルドー地方の南部、ソーテルヌ地区やバルザック地区などで、セミヨンやミュスカデル、ソーヴィニヨン・ブランといった品種から造られる貴腐ワインです。

この地域では、シロン川の冷たい水とガロンヌ川の温かい水が合流することで周辺の丘に霧が発生し、貴腐菌が繁殖しやすくなっています。

特に有名な生産者はシャトー・ディケム。この地区における3階級の格付のうち、唯一最上級の特別1級に格付けされている生産者です。

トカイ

トカイはハンガリーのトカイ地方とその周辺で、主にフルミントというブドウ品種から造られる貴腐ワインです。
ルイ15世も、「これが王のワインにしてワインの王である。」という言葉を残したほど。

ベースとなる白ワインに、かご何個分の貴腐ブドウを加えたかで、その糖度や味わいが変わってきます。
このかごを「プットニョス」と呼ぶことから、糖度が低い順から1プットニョス〜6プットニョスという段階で表されます。

また、「トカイ・アスー・エッセンシア」という、世界で唯一の貴腐ブドウのみから造られる貴腐ワインも存在します。

トロッケンベーレンアウスレーゼ

主にドイツのモーゼル地方やライン地方で、リースリングやオルテガといったブドウ品種から造られる極甘口のワイン。

原料のブドウ果汁の糖度によって格付けがされるドイツワインの中で最も糖度が高く、最上級のクラスに分類されているのが、このトロッケンベーレンアウスレーゼです。トロピカルで華やか香りと、蜂蜜のように濃縮された甘味が特徴です。

まとめ

日本ではあまりデザートワインを飲む習慣がないため、貴腐ワインはあまり身近な存在ではないかもしれません。

しかし、限られた条件のもとでしか造れない貴腐ワインは、希少性が高く貴重なもの。

一般的なワインに比べると高価ではありますが、特別な日のディナーを締めくくるにはピッタリのワインと言えるでしょう。ワイン好きの方はぜひ一度、味わってみてくださいね!

お酒の情報サイト「NOMOOO(ノモー)」は「今日の飲みたいを見つける」をコンセプトに、お酒に関する情報を更新しています。

この記事をシェアしてね

この記事を書いた人 Writer

石関華子

石関華子

埼玉県出身、高知県在住の一児の母。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート。日本ソムリエ協会香川・徳島・高知支部所属。日本橋三越のワイン担当を経て、現在は高知県の井上ワイナリーの広報アドバイザーや、ワインの講師などを務めています。少しでも多くの方と、ワインの楽しさを分かち合えれば嬉しいです!

関連キーワード

この記事を読んだ方にオススメ Recommendation