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個性的なウイスキー!「キャンベルタウン モルト」の特徴とオススメ商品を紹介

スコッチウイスキーは主要な産地によって6つに分類されていますが、その中で「キャンベルタウン」のウイスキーを皆さんは飲んだことがありますか? かつてはハイランドに次いで勢いがあると言われていた「キャンベルタウン」。しかし現 …

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スコッチウイスキーは主要な産地によって6つに分類されていますが、その中で「キャンベルタウン」のウイスキーを皆さんは飲んだことがありますか?

かつてはハイランドに次いで勢いがあると言われていた「キャンベルタウン」。しかし現在では、そのウイスキー産業は衰退してしまったと言わざるを得ない状況で、「キャンベルタウン」のウイスキー、「キャンベルタウンモルト」はスコッチの中でも比較的レアなものとして認知されています。

多くの蒸留所が淘汰され、その中で生き残った現代の「キャンベルタウンモルト」。それらは厳しい暗黒時代を乗り切ったという実績がある、折り紙つきの逸品たちです。

今回はそんな、キャンベルタウンモルト」の特徴や、オススメの商品を紹介します。

そもそも「キャンベルタウンモルト」とは?

スコットランドのウイスキーであるスコッチは、さらに主要な産地によっていくつかに分類されています。スペイサイド、ハイランド、ローランド、アイラ、アイランド、そして今回紹介する「キャンベルタウン」の6つです。

つまり「キャンベルタウンモルト」とは、スコットランドの「キャンベルタウン」という町で造られる「シングルモルトウイスキー」のことを指します。

主要な産地と書くと聞こえは良いですが、現在「キャンベルタウン」で稼働する蒸留所は数えるほど・・。もともと他の産地と比べると非常に小さい土地ではありますが、現在では人口が5,000人を割った、「陸の孤島」とも表現される町です。

衰退の原因

かつてはハイランドに次いで勢いがあるとまで言われていた「キャンベルタウン」。ウイスキー造りに必要不可欠な大麦や石炭が多く取れた他、良質な水源も合わせ持ち、さらには海上輸送の拠点で船の寄港地であったこの町は、生産から物流まで非常にスムーズにこなす町として栄えました。最盛期には30を超える蒸留所が稼働したほどです。

衰退の原因は激動の時代の変化二度の世界大戦と世界恐慌、商売相手であったアメリカで施行された禁酒法の影響を強く受けたことなどが挙げられます。
また、多くの蒸留所が栄えた故に、石炭の枯渇という問題を抱えてしまったことも、小さな「キャンベルタウン」には痛手でした。

このような衰退を辿ったことから、現代の「キャンベルタウンモルト」は「キャンベルタウン」という小さな町で造られる、暗黒の時代を生き残ったウイスキーです。

「キャンベルタウンモルト」の特徴


小さな港町で造られる「キャンベルタウンモルト」は「塩辛さ」が特徴的です。これはやはり、港町近くにある蒸留所が海や潮の香りを受けていることが影響しているでしょう。

ブリニー」と表現されるこの「塩辛さ」。海や湖を思わせる爽やかな塩味であり、またスコッチらしい上品な甘さがそれをより引き立てています。

また、アイラモルトで有名なピート香も程良く香ります。ボディも厚めで、どちらかというと重めなので一杯で満足感があるような、そんな仕上がりです。

ちなみに、ニッカウヰスキーの創業者であり日本ウイスキーの父と呼ばれる"竹鶴政孝"氏は、「キャンベルタウン」のヘーゼルバーン蒸留所で研修をしました。

今は閉鎖してしまったヘーゼルバーン蒸留所。しかしその味わい、「キャンベルタウンモルト」の味わいは、日本のウイスキー界に大きく影響を与えたことでしょう。

オススメの「キャンベルタウンモルト」

日本人なら一度は飲んでおきたい「キャンベルタウンモルト」。
次はオススメの商品を紹介します!

スプリングバンク 10年

創業1828年のスプリングバンク蒸留所は、「キャンベルタウンモルト」を語る上で外せない存在。
製法には伝統のフロアモルティングを採用し、自家製麦の麦芽を100%使用するというこだわりようです。

中でも代表商品である「スプリングバンク 10年」は、「モルトの香水」と讃えられるほど。甘味と塩味スモーキーフレーバーが絶妙に絡み合い、どこか柑橘系を思わせるフルーティーな仕上がりは、女性的で美しいです。

フロアモルティングにより土地柄が表現された逸品。これぞ「キャンベルタウンモルト」と言える一本でしょう。

ヘーゼルバーン 10年

ヘーゼルバーンとは先ほど紹介した"竹鶴政孝"氏が研修した蒸留所ですが、こちらはその名を冠したスプリングバンクで造られた「キャンベルタウンモルト」。
閉鎖してしまった蒸留所の名がこのような形で残っていくのは、ファンにとっても喜ばしいことなのではないでしょうか?

「ヘーゼルバーン 10年」の特徴は、ピートを焚かないノンピート麦芽を使用したことと、スコッチでは珍しい3回蒸留を採用していること。
独特なピート香がなく、3回蒸留により生まれたライトな仕上がりは、同じくノンピートであることが多いジャパニーズウイスキー好きの日本人にもピッタリです。

「キャンベルタウンモルト」らしい甘味と塩味が程良く表現された、スムースな口当たりの一本。やはり日本人なら押さえておきたい、どこか懐かしさを覚える逸品です。

グレンスコシア ダブルカスク

1835年創業のグレンスコシア蒸留所。二度の操業停止を乗り越え、現在では安定的に商品が流通されています。

不屈の蒸留所のこだわりは、全てのボトルをノンチルフィルターでボトリングしていること。これにより、原酒に近い樽の個性が出た仕上がりになるのです。

「グレンスコシア ダブルカスク」は、そんな蒸留所の代表商品。まるでプリンやキャラメルフルーツを思わせる強く甘い香りが特徴的で、またそれらをより引き立てる塩辛さは、やはり「キャンベルタウンモルト」らしいと言える逸品です。

初動の甘さ、その後ふくよかに広がり、かつドライな飲み心地を感じさせる仕上がり。ミディアムボディのウイスキーが好きな方に、ぜひとも飲んで欲しい一本です。

キルケラン 12年

2004年にスプリングバンクの姉妹蒸留所として復活した、グレンガイル蒸留所のシングルモルト「キルケラン」。スプリングバンクの恩恵を直に受け、同蒸留所でフロアモルティングされた麦芽と、同蒸留所と同じ仕込み水を使用した間違いない一本です。

特にこの「キルケラン 12年」は、長年「Work in Progress(=進行中、未完成品)」という名でリリースされてきた商品の一つの完成形として位置づけされています。

まるで海風が運ぶピート香と複雑で繊細な甘い香り、そしてそれらの香りのイメージ通りの完成形に恥じない味わい。「キャンベルタウン」らしさが出た、素晴らしい逸品です。

まとめ

今回はジャパニーズウイスキーを語る上でも重要になってくる、「キャンベルタウンモルト」について紹介しました。

キャンベルタウンの蒸留所の数はかなり少なくなっており、閉鎖と再開を繰り返しているところもあるほど不安定です。そうなってくると自然とウイスキーの流通も貴重になるので、気になったキャンベルタウンモルトがあれば早めに購入することをおすすめします。

どの商品も確かなクオリティーはもちろん、ファンに愛されたからこそ生き残った小さな町の至極の逸品。洗練されたその味わいを、ぜひお楽しみください!

《ワキヤ》

ワキヤ

日本酒を愛する元バンドマン。趣味は昼から飲むはしご酒。よく千住で一人酒してます。

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