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似ているようで違うお酒!「老酒」と「紹興酒」の違いを徹底解説

中華料理屋や居酒屋などで「老酒(ラオチュウ)」を注文すると、紹興酒(ショウコウシュ)の瓶が出てくることはないでしょうか? 店員さんに「自分が頼んだのは老酒なんだけど」と聞いてみても、「老酒と紹興酒は同じです」と言われてし …

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中華料理屋や居酒屋などで「老酒(ラオチュウ)」を注文すると、紹興酒(ショウコウシュ)の瓶が出てくることはないでしょうか?

店員さんに「自分が頼んだのは老酒なんだけど」と聞いてみても、「老酒と紹興酒は同じです」と言われてしまう…。

老酒と紹興酒は本当に同じなの?と疑問を持っている方も多いはず!

そこで今回は、老酒と紹興酒の違いについて解説!ついにこの悶々とした気持ちとサヨナラすることができます。
ズバリ!違いの分かる大人になりましょう!

老酒と紹興酒の違いとは


紹興酒と老酒は、中国酒の「黄酒(ホアンチュウ)」といわれる種類に分類されます。

老酒は長期熟成された黄酒のことを指し、紹興酒は黄酒の中でも特に中国の浙江省紹興で醸された黄酒のことを言います。

「黄酒」とは?

老酒と紹興酒の違いを解説する前に、黄酒について知っておきましょう。

中国酒は大きく分けて、蒸留酒の「白酒(パイチュウ)」と果実酒の「果酒(カシュ)」、そして醸造酒の「黄酒(ホアンチュウ)」の3つに分類されます。

黄酒は米や黍(きび)などの穀類を原料に造られる醸造酒で、酒色が黄色いことから「黄酒」と呼ばれています。
アルコール度数は14~18%程度のものが多く、中国のお酒の中で最も古い種類とされています。そして、その黄酒の中でも特に有名なものが紹興酒なのです。

紹興酒と老酒の違い

紹興酒の名前は「醸された場所」に関係し、浙江省紹興で醸された黄酒はすべて「紹興酒」と呼びます。

そのため浙江省紹興で作られたものであっても、長期熟成された黄酒であれば老酒(紹興酒であり老酒である)であるとも言えるのです。

しかしながら、浙江省紹興以外の地域で作られた黄酒は、長期熟成された黄酒であれば老酒とされますが、浙江省紹興で作られていないので、紹興酒には分類されません。

つまり紹興酒は「黄酒を『醸造した場所』で分けた名称」で、老酒は「黄酒を『熟成期間』で分けた名称」なのですね

老酒と紹興酒の2つはそもそもの分類の仕方が違うので、「老酒であり紹興酒である黄酒」は存在しますが、「老酒」=「紹興酒」という理解は誤りであることがわかります。

ちなみに中国では、2000年に紹興酒と同様の製法で作られた老酒でも、浙江省紹興以外の地域で製造された老酒は紹興酒にしてはいけない法律が制定されました。

なぜ紹興酒と老酒が混同されてしまうのか

なぜ紹興酒と老酒が混同されるようになってしまったのでしょうか?
それは「紹興酒の老酒」が特に有名で美味しかったからであると考えられます。

多くの量販店や居酒屋で販売されている紹興酒・宝酒造の「塔牌・陳五年」などが代表的な例です。

「塔牌・陳五年」は浙江省紹興で醸された醸造酒なので紹興酒とも呼べますし、「陳五年」とあるように五年熟成されているので老酒と呼ぶこともできますよね。

「塔牌・陳五年」以外の他の地域の老酒や、醸造年数の少ない紹興酒が有名にならなかったため、「紹興酒は老酒!老酒は紹興酒!」ということが通説になってしまったのでしょう。

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「老酒」の味わいと美味しい飲み方

老酒とは黄酒を長期にわたって熟成させたもののことを言い、一般的には3年以上熟成させた黄酒のことを呼びます。

黄酒は熟成させた期間が長ければ長いほど、味に丸みがでてまろやかで、深い香りがでるようになります。
また熟成期間が長いほど貴重とされ、価値が高くなるんだとか。

老酒のラベルに「陳年」と書かれていることがありますが、これは中国語で「古い」「長い年月を経た」といった意味があります。例えば「陳年七年」とあれば、それは熟成期間が7年ということになります。

老酒の飲み方

中国では常温または少し温めるのが老酒の一般的な飲み方。しかし、老酒の独特な香りが気になる方や、初心者の方はロックで飲んでも◎。

最近では、老酒をソーダで割る「ドラゴンハイボール」が中国の若者の間で人気となっているのだそう。
その他にもシークァーサーの果汁で割ったり、レモンスライスを添えて飲んだり、ビールで割ったりする飲み方もあります。

色々な飲み方ができるので、シーンに合わせて楽しめそうですよね♪

「紹興酒」の種類と美味しい飲み方

紹興酒の種類

紹興酒は使っているもち米の割合や、仕込み水の種類、熟成期間によって呼び方が変わります。

・元紅酒(ゲンコウシュ)…最も基本的な製法で醸す。
・加飯酒(カハンシュ)…元紅酒と製法はほぼ同じだが原料米を1割程度増量して、長期熟成したもの。日本に輸入しているほとんどの紹興酒が加飯酒。
・善醸酒(ゼンジョウシュ)…仕込の際に仕込み水の代わりに元紅酒を用いて濃厚に仕上げたもの。
・香雪酒(コウセツシュ)…醪の元紅酒に麦麹と焼酎を追加し、さらに粕取焼酒の「糟焼(ツァオシャオ)」を入れた、甘みの強いもの。

紹興酒の飲み方いろいろ

紹興酒はその歴史の長さやアルコール濃度の高いなどの特徴から、様々な飲み方で親しまれてきました。
ストレートで飲むことはもちろん、レモンを沈めて独特の辛さを抑えたり、カクテルの材料として用いることもあります。

紹興酒は芳醇な香りを楽しむため、ストレートで飲むのが最も一般的。他にも温めた紹興酒に砂糖漬けの梅干しを入れて飲む方法も人気です。

紹興酒は薄めちゃダメ!?

よく「日本人の誤解」と紹介される飲み方で、紹興酒に「角砂糖入れる」という話があります。
実際、少しきつい紹興酒に砂糖を入れて飲めば飲みやすくなりますが、紹興酒ファンからすると正式な飲み方だとは言えないのだそう。

角砂糖を入れる文化は、明治時代頃に紹興酒を中国から輸入する際、酒の劣化が進み味の品質が落ちてしまうのをごまかすために角砂糖を入れたことが発端とされています。

現在は保存状態もよく、おいしい紹興酒が日本に輸入されていますので、醸造本来の米の旨み・甘みを角砂糖なしでも十分に味わうことができますよ!

まとめ

居酒屋の店員さんであっても勘違いしがちな老酒と紹興酒の違い。
実はどちらも「黄酒」のカテゴリの一つでした。

これからは居酒屋に行っても、老酒と紹興酒の違いがバッチリわかるのでさらに楽しく飲めるでしょう!

違いの分かる愛飲家になって、酒を愛するもの同士でより濃ゆい会話ができると楽しそうですね♪

《ハタヤマ シンノスケ》

ハタヤマ シンノスケ

専門学校を卒業後、銀座の有名料亭で修行。複数の飲食店を経て、現在はフリーランスの料理人として調理以外にも執筆も行なう。各種料理免許の他、利酒師の資格も保有。日本酒、ビール、焼酎、泡盛......なんでも大好き!!

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