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スコッチの個性を決める!豊かな味と香りを生む「ピート」とは

今回は「ピート」と呼ばれる、スコッチになくてはならないもののお話です。 スコッチの個性を決定づける!?ピートとは ピートとは、泥状になった炭「泥炭」のこと。野草や水生植物が枯死・堆積して固まったもので、採取する場所によっ …

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今回は「ピート」と呼ばれる、スコッチになくてはならないもののお話です。

スコッチの個性を決定づける!?ピートとは


ピートとは、泥状になった炭「泥炭」のこと。野草や水生植物が枯死・堆積して固まったもので、採取する場所によって堆積年数や香りが違います

スコットランドで造られるウイスキーは、このピートの香り(ピート香)が強いことで有名で、この香りが1つの個性として人気を集めています。

麦芽乾燥の際に使用されるピート

「え、飲み物に泥入れるの!?」とビックリした方もいらっしゃるかもしれませんが、もちろんそのまま入れているわけではないのでご安心ください。

ウイスキーにはだいたい8段階くらいの製造工程があるのですが、そのスタート地点である「製麦」の段階でピートを使います。原料である麦を材料に整える工程ですね。

「製麦」の作業内容としては、まず採った麦を何日間か水に漬けては入れ替える「浸漬」を行って麦を発芽させます。このとき使われる”仕込み水”(マザー・ウォーター)もウイスキーの味を決める重要な要素です。

そして浸漬が終わったら、乾燥と香り付けのためにピートや石炭を焚きます。スコッチではほとんどの場合ピートを使います。

ピートを用いて麦芽を乾かす際に、ピートの香りが麦芽に移ることで、あの個性的な香りが実現されるというわけです。

ピートを焚く量や焚き方は各蒸留所や銘柄によって差があり、ほとんどピートのクセを感じさせないものもあれば、初心者ではちょっと飲みづらく感じるほど強い香りをつけることもあります。

スコッチを受け入れられるかどうかの指標にもなるので、これから飲み始める方はピート感の弱いものから強いものまでいくつか試してみるといいでしょう。

ピートってどうやって作られるの?


「ピートボグ」という湿原から、切り出される形で採掘されるピートですがそのまま使用されているわけではありません。切り出された後は、数ヶ月かけて天日干し乾燥させた上で使用されます。

実はピート、堆積するのにはかなりの長い年月がかかると言われており、15cmほどの体積に1000年ほどかかるのだそう!

また、堆積する場所や植物の種類によっても香りが大きく異なるため「ピートごとの個性」があります。そのため、各醸造所はピートを厳選することが重要になってきます。

蒸留所によっては独自のピートボグを所有しており、香りや個性を一定の品質に保つ努力をしているほどなのです。

ピートの成分「ヒース」について

ピートの成分の主となっているのは、スコットランドやアイルランドの原野に多く生えているという「ヒース」という植物です。「ヘザー」と呼ばれることもあります。

耐寒性の強い植物で、ハイランドの中央から東にかけての原野や湿地で特に多く育っています。天候変化が激しく寒い地域でありながら、しぶとく生き抜く生命力を持っているため、どんなに厳しい環境変化が発生した年でも翌年には必ず美しい花を咲かせます。

日本ではハーブの一種としても知られており、ヒースを原料にしたお茶やはちみつ等が売られていることも。

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ピート香が特徴的なおすすめウィスキーをご紹介

基本的にピートをガンガン焚くアイラのウイスキーでも、甘みとマッチしてチョコレートのような風味を生み出すものもありますから、ただ単純に「クサい」ということはほとんどありません。

以下では、ピート香が特徴的な人気のおすすめウイスキーをいくつかご紹介していきます。

アードベッグ

アードベッグ 10年 箱入り [ ウイスキー イギリス 700ml ]

数あるアイラ・モルトの中でも、トップクラスの強烈な個性を誇る「アードベッグ」。

スモーキーかつピーティーな香り、フルーティーな甘みが織りなす、強いクセがある味わいが特徴。熱烈なファンをかかえる、モルト好きなら誰もが知る有名銘柄です。

最もスタンダードなのが「アードベッグ10年」。強烈なピート香のうらにある、繊細な甘味とバランスよくまとめられた風味。初心者にはハードルが高いかもしれませんが、ピート香の個性を知るためにも一度はトライしてみたいウイスキーです。

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ボウモア

シングルモルトウイスキー ボウモア 12年 [ ウイスキー イギリス 700ml ]

アイラ島の中で最も古い蒸留所で造られている「ボウモア」。

フロアモルティング製法という“部屋で大麦を発芽させる”独自の製法で造られており、優美に感じられる甘い香りが最大の特徴。これは、熟成の過程でバーボン樽やオロロソのシェリー樽といった樽を使用していることも要因の1つ。また、熟成する場所は海に面しているだけでなく、一部分は界面の下にあるのだとか。

アイラウイスキーの中では比較的クセが少なめで、非常に穏やかな印象。「アイラモルトの女王」と言われるのも納得。

初心者にも手に取りやすい、最初の1本としてもおすすめのウイスキーです。

ラガヴーリン

ラガヴーリン 8年 箱入り [ ウイスキー イギリス 700 ] [ギフトBox入り]

“アイラの巨人”と称されることも多い「ラガヴーリン」。非常に個性的で強いピート香に加え、潮の香りや塩味も感じる濃厚な味わいが最大の特徴です。

強烈な香りの中に潜む、ほのかなナッツの香ばしさや爽やかな柑橘系の香りが、なんとも上品な味わいを実現させてくれます。

アイラモルトの決定版、アイラモルトの大定番とも言われているほどなので、これからスコッチやアイラモルトの世界にどっぷりと浸かりたいという方は、その味わいをぜひ試してみてくださいね。

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ラフロイグ

ラフロイグ10年 [ ウイスキー イギリス 700ml ]

チャールズ皇太子など、英国王室御用達のウイスキーだったことから“アイラモルトの王”と称されることも多い「ラフロイグ」。

その強烈なピートの香りが日本では「正露丸のような香り」と例えられることも多いですよね。ラフロイグに使用されるピートには、海藻や海苔なども混ざっていることから、潮の香りも豊かに感じられる唯一無二のウイスキーの味わいとなっています。

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タリスカー

タリスカー 10年 箱入り [ ウイスキー イギリス 700ml ]

ピート香に加えて、個性的なスパイシーさが人気を集めている「タリスカー」。

口に入れた時に広がる、まるで黒胡椒のようなスパイシーな風味とスモーキーな香りの強烈な個性は唯一無二。奥に隠された青りんごのような上品な果実味も相まって、非常に飲みごたえのあるウイスキーに仕上がっています。

ソーダや水で割ってもその個性が失われることはないので、自宅に1本ハイボール用として購入してみるのもおすすめです。

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私の友人(女性)でも、ピート香の強いことで有名な”アードベッグ”を愛飲している方がいます。やはりチョコレートっぽさにハマったのだそうですよ。

アイラで言えば、”ボウモア”は墨、”ラガヴーリン”はお線香、”ラフロイグ”は海藻もしくは薬品っぽい香りがします。

アイラ以外ですと、”タリスカー”はわずかな潮の香りとピート香がうまく調和して飲みやすいですね。私も好きです。

この中でピート香やクセの強い順に並べると、ラフロイグ>アードベッグ>ラガヴーリン>ボウモア>タリスカーでしょうか。もちろん人によって感じ方は違うので、あくまで目安ですが。

ピートの性質やその後熟成させるときの環境によってもウイスキーの味は異なってきますので、「ピート=苦手」と思い込まずに、一度はメジャーな銘柄を試してみるのがいいかな、と思います。

飲み比べてピートの個性を確かめてみるのも◎

バーによっては、3種類ぐらい銘柄を指定して少しずつ飲み比べができるテイスティングセットを用意していることもありますので、そういうお店を探して行ってみるととっつきやすいかもしれませんね。

もしくは、「初めて飲むものなので、ハーフショットでお願いします」と言うと応じてくれることもあります。飲みきれるかどうかが心配な場合はこちらもオススメです。

「ピート」はスコッチの強烈な個性を決定づける重要な要素

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それでは今回のまとめです。

・ピートとは、乾燥と香り付けのために用いられる、スコットランド特有の泥炭のこと
・ウィスキーの香りとクセはピートを焚く量や焚き方などで決まる
・これから飲み始める方はピート感の弱いものから強いものまでいくつか試してみるのがオススメ

一言で「ピート香」「スコッチの個性」といっても、実に様々で銘柄によって本当に大きく異なります。色んなウイスキーを飲み比べて、ご自身のお気に入りの1本を見つけてみてくださいね!

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《つじとも》

つじとも

元NOMOOO編集長。音楽業界から一年間のフリーター生活を経てお酒の世界に転身。たまに地下アイドルのライブに出没します。

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