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たっぷり寝かされた"特別な日本酒"!「長期熟成酒」の魅力を徹底解説

日本酒のラベルで時々見る、熟成や古酒という表示。皆さんはこういった日本酒にどういったイメージをお持ちでしょうか。 今回は、知ってるようで知らない長期熟成酒というジャンルをピックアップ。長期熟成酒とはなんなのか、その特徴や …

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日本酒のラベルで時々見る、熟成古酒という表示。皆さんはこういった日本酒にどういったイメージをお持ちでしょうか。

今回は、知ってるようで知らない長期熟成酒というジャンルをピックアップ。長期熟成酒とはなんなのか、その特徴やオススメの商品などを紹介していきます!

長期熟成酒(熟成古酒)


実は長期熟成酒に明確な定義はありません

というのも、日本酒は特定名称以外では、明確な区分が定められていないことが多々あるのです。

特定名称とは、本醸造・純米・吟醸などといったもの。これらは主に、醸造アルコールの有無と、精米歩合によって決まります。

しかし、日本酒のラベルには前述した特定名称以外にも、頻繁に目にする単語がたくさんありますよね。例えば新酒やひやおろし
これらは、いわゆるラベル表示用語というもので、酒税法上の厳密な規定がありません
つまり、販売する酒造メーカーによってその解釈は様々ということ。

前置きが長くなりましたが、熟成古酒もこのラベル表示用語の一つです。

長期熟成酒研究会の定義

では、一般的に熟成古酒はどう解釈されているのか。
酒造メーカーによっては、熟成期間1年から熟成古酒と表示されることもありますが、長期熟成酒研究会では「満3年以上蔵元で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒」と定められています。

今回は、この長期熟成酒研究会の定義に沿って、熟成古酒について説明していきたいと思います。

*長期熟成酒研究会とは、日本酒の熟成古酒の普及と製造技術の向上を主な目的として、小売店、酒販店、流通業者、酒造会社によって設立された団体。

香味による熟成古酒の位置付け

それでは熟成期間3年以上の日本酒はどういった特徴を持つのか。それを説明をする前に、先ほど名前が挙がった"特定名称"の問題視されている部分について、少しご紹介していきます。

まず一つは、前述してきたように特定名称だけでは日本酒の特徴を表しきれず、結果として各酒造メーカーの解釈によって変わる、ラベル表示用語が多様されているということ。

消費者からすれば、例えばA社の新酒が美味しかったからB社の新酒も買ってみたのに、その新酒の定義が両社で異なったら嫌ですよね。

もう一つは、特定名称は味わいを表しているわけではないということ。もちろん名称別で大まかな香味の違いはありますが、例えば同じ純米酒でも、甘口もあれば辛口もありますし、濃厚なものもあれば爽やかなものもありますよね

いずれにせよ、こういった問題視されている部分は「消費者からすれば分かりづらいのでは?」という声が少なからず挙がっていました。

そこで長期熟成酒研究会は、日本酒を香味によって4つのカテゴリに区分しています。

長期熟成酒の4つのカテゴリーとは?

長期熟成酒研究会が区分した4つは以下の通り。

・薫酒…華やかな香りと軽快な飲み口の日本酒。(大吟醸酒など)

・爽酒…控えめの香りとキレのある飲み口の日本酒。(本醸造酒など)

・醇酒…控えめの香りとコクのある飲み口の日本酒。(純米酒など)

熟酒…重厚な香りと旨みを伴うほどよい酸味と苦味の日本酒。(長期熟成酒など)

実際、こういった香味によるカテゴリ分けで日本酒を紹介している酒屋や飲食店も増えてきています。1本1本の味わいにより、それぞれ4つのうちのどれかにカテゴライズすることで、曖昧なラベル表示用語に惑わされることなく、消費者が日本酒を選ぶことができるというわけです。

少し話が逸れましたが、要するにこのカテゴリの一角を担う熟酒が、基本的に長期熟成酒の特徴と言えます。

さらに詳しくタイプ分け


長期熟成酒は基本的には熟酒タイプと説明させていただきましたが、一つの指標としてさらに詳しくタイプ分けをすることができます。そのためには、どんな日本酒をどのように熟成させたか、ということが重要になってきます。

濃熟タイプ

まずは、熟酒の中でも濃熟タイプになりやすいものを説明していきましょう。
このタイプは、本醸造や純米の日本酒を常温で熟成させた場合に多いです。
こうすることで、熟成を重ねるにつれ、照り、色、香り、味が大きく変化を起こし、風格ある個性豊かな味わいになります。

相性の良い料理は、中華料理、脂分の多い料理、濃厚な旨みと甘みのある食べもの(ビターチョコレート、焼肉、ブルーチーズ、焼き鳥のタレ、カレー)など。

中間タイプ

次に中間タイプ
本醸造、純米、吟醸、大吟醸の日本酒を、低温・常温熟成させたものを併用した場合に多いです。
低温と常温熟成を併用することで、濃熟タイプと淡熟タイプの中間の味わいになります。

相性の良い料理は、酢豚、牛しゃぶしゃぶ、干しぶどう、チョコレートといった、ほどよい甘味、酸味、苦味のある食べものなど。

淡熟タイプ

最後に淡熟タイプ
吟醸、大吟醸の日本酒を低温熟成させた場合に多く、こちらは吟醸酒の良さは残しつつ、ほどよい香りと苦味により深い味わいになります。

相性の良い料理は、フランス料理、甘味・脂肪が少なく旨み成分が多い食べもの(生ハム、イカの塩辛、ロールキャベツ、グラタン、チーズ)など。

長期熟成酒の魅力


長期熟成酒の特徴

長期熟成酒の重厚な香りは熟成香古酒香などと呼ばれ、時に紹興酒やシェリー酒、カラメル、干ししいたけ、干しブドウなどに例えられたりします。

また液色も特徴的で、番茶色と表現されるその様はウイスキーを連想させます。

長期熟成酒は悪酔いしにくい!?

実は、熟成古酒の特徴の一つに、飲んだ後の酔い覚めの良さが挙げられています。江戸時代の文献にも、「新酒は、頭ばかり酔う。熟成酒は、からだ全体が潤うように気持ち良く酔う」と記されているほどです。

長期熟成酒の身体に対する優しさは、医学会からも報告されているとか。日本酒で悪酔いしやすい方は、熟成古酒を飲んでみると良いかもしれませんね。


オススメの熟成古酒

最後に、オススメの熟成古酒をいくつかご紹介します。

瑞祥黒松剣菱

永正2年(1505年)以前に創業された兵庫の老舗蔵、剣菱酒造が醸す熟成期間5年以上の逸品です。

やはり濃厚な香味が特徴。その芳香と甘みのバランスは素晴らしく、華やかな印象に仕上げられています。

口当たりはまろやかで飲み心地も良し豊かな余韻は至福のひと時へ誘ってくれるでしょう。

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剣菱酒造
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出羽桜 特別純米 枯山水 10年熟成古酒

山形を代表する蔵、出羽桜酒造の創業120周年を記念して数量限定で販売された商品です。

10年間もの熟成による、円熟した香味が特徴。グラスに注いだ瞬間に立ち上る熟成香は、口に含めばさらに華やかに開花します。

舌全体に広がる、まるで包み込むような優しい旨味は、角が取れた熟成酒ならでこそ成せるもの。どこか余裕すら感じさせる、老舗蔵の逸品です。

梵 夢は正夢

加藤吉平商店が誇るブランド「」。同商品はその中でも、最高レベルの一本といっても過言ではありません。

それは、全米日本酒歓評会で金賞受賞全日本酒類コンクール古酒熟成酒部門で第1位獲得といった、数々の受賞歴が物語っています。

重厚感があり奥深い香りしっとり滑らかな味わい。そして余韻はスッとキレる、個性がありながらもしつこくないバランスは、上品で素晴らしいし仕上がりになっています。

0~10度の冷やでいただくのがおすすめ。

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まとめ

熟酒という日本酒のカテゴリからも分かる通り、長期熟成酒はかなり個性的なものになります。

また、長期熟成酒は自分の同い年の日本酒や、特別な記念日に熟成を開始した日本酒を選んで味わうのも楽しみ方の一つ。記念となる1本を味わい、ロマンを感じてみるのも長期熟成酒の醍醐味と言えるでしょう。

意図的に選ばないとなかなか楽しむ機会がないと思いますが、この記事で長期熟成酒を気になった方は、ぜひ積極的に飲んでみてくださいね!

《ワキヤ》

ワキヤ

日本酒を愛する元バンドマン。趣味は昼から飲むはしご酒。よく千住で一人酒してます。

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