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「床もみ」って知ってる?日本酒造りにおいて重要な"製麹"の一工程を解説します!

知っても知っても、新たな知らないことがでてくるのが日本酒の世界。裏を返せばそれだけ日本酒が深いということですが、なかなか独学で日本酒について知ろうとしても難しいですよね、、、 ということで今回は、日本酒造りにおける大切な …

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知っても知っても、新たな知らないことがでてくるのが日本酒の世界。裏を返せばそれだけ日本酒が深いということですが、なかなか独学で日本酒について知ろうとしても難しいですよね、、、

ということで今回は、日本酒造りにおける大切な工程「床もみ」をご紹介。難しい日本酒の知識も、一つ一つ身につけていきましょう!

「床もみ」を知る前に


床もみ」を説明する前に、まずは「製麹」についてご説明しなければなりません。何故なら「床もみ」は「製麹」の工程の一つだからです。

製麹とは「蒸米」と「酒母造り」の間の作業。精米したお米の一部は、洗って蒸した後に「麹」を造るため製麹の作業に入るのですが、この過程では、床もみ、切り返し、盛り、仲仕事、仕舞仕事、出麹という作業が行われ、これによりお米が麹へと変わっていきます

麹は、「種こうじ」と呼ばれる菌を米に付着させ、米の中で菌が繁殖することによって誕生。出来上がった麹が、日本酒造りで欠かせない「糖化」を手助けする働きをしています。

またそれだけでなく、麹は日本酒の深いコクを引き出す働きも持っています。良い酒質の日本酒を造るためには、良い麹を造ることが非常に重要なのです。

一麹、二酛、三造り」という日本酒造りの格言からも、製麹が酒造りの最も重要な工程の一つということが分かりますね!

麹造りは超大変!?


さて、麹造りがいかに重要かはもうお分かりだとは思いますが、この作業は重要故にとても大変なものとなっております。

まずこの作業は「麹室(こうじむろ)」という部屋で行われます。良質な麹を造るためには、適切な温度を保つ必要があり、なんと麹室は30度前後に設定されているのです。

この温度で作業をしなければならないことが、いかに大変かは言うまでもありませんが、大変なのは温度設定だけではないのです。

麹造りでは、麹菌以外の菌や汚れが米に付着しないようにする必要があります。なので麹室を入る際には、白衣の着用、消毒など徹底的な衛生管理が行われるのです。

上記のような理由で、風が通らないように密閉できる構造になっていることが多い麹室で、細心の注意を払われながら麹造りは行われています。

「床もみ」とは?


それではいよいよ「床もみ」について説明していきましょう!床もみを一言で説明すると、蒸米に種こうじを振りかけ、種こうじが満遍なく付着するように米を混ぜる作業です。

準備も含め床もみの工程をまとめると、まず最初の作業は「引き込み」になります。引き込みでは、蒸したお米を麹室で広げ2~3時間放置することにより、均一で適切な温度にすることが目的です。

温度が安定すると、次は「種切り」と言う作業に入ります。ここでは「もやし」と言われる種こうじを、ふるいを使って米に振りかけるのです。

そしていよいよ「床もみ」の工程になります。ここでは麹菌をしっかりと繁殖させるため、米を集めて積み上げます。そして最後は上から布をかぶせて床もみは終了するのです。

これらの作業は言葉にすると簡単そうに見えますが、引き込みも種切りも熟練の技が必要な工程なんですよ!

プラスα1「種こうじ」って何?

ここまで読んだ方はもう、麹造りの大切さを理解していると思いますが、その麹を造るのに必要不可欠な「種こうじ」について、今度は説明していきます。

種こうじは、玄米に麹菌の原菌を付着させて培養したものから造られるのですが、麹菌には主に黄麹菌、黒麹菌、白麹菌の3種類に分類されます。

日本酒造りでは、デンプンの分解力が強いという特徴がある黄麹菌を使用。

ちなみに、日本酒に限らず発酵食品のもとである麹に使われる種菌のことを「もやし」と呼んだり、麹菌の製造元を「もやし屋」と呼んだりもするのですが、それにはきちんとした理由があります。

一説ではありますが、芽が出るという意味の「萌える」から「もやし」と呼ばれるようになったとか。「もやし」は、麹米に菌が付着して芽吹く姿を「もやす」と表現したことに由来しているのです。

プラスα2「もみ上げ温度」って何?


種類によって異なりますが、麹菌が最も活発に繁殖する温度帯は32~37℃と言われています。この温度帯と適度な水分を保つことが、麹菌の繁殖を活発にさせ良い酒質に繋がるのです。

さて、この温度管理をしながら暖かく重たいお米を混ぜるのが「床もみ」ですが、その作業が終わった後も温度管理には細心の注意を払わなければいけません。

この、床もみが終わった時点でのお米の温度を「もみ上げ温度」といい、もみ上げ温度が以後の麹菌の繁殖の速度を決定するため、管理調整しなければならないのです。一般的には31~33℃で保たれるそうですよ!

まとめ

いかがでしたでしょうか?また一つ日本酒に詳しくなれたのではないでしょうか?

日本酒造りは、どの作業をとっても無駄なところが一つもありませんが、今回はその中でも重要な製麹の工程の一つ「床もみ」を解説させていただきました。

今後も日本酒造りの作業はそれぞれピックアップしていく予定です。全て読めば、きっとあなたは日本酒マスターになれることでしょう(笑)

《三寺悠仁》

三寺悠仁

高知県の酔鯨酒造で2年間蔵人として勤務、現在はKURANDの商品開発に関わる日本酒のプロ。日本酒の素晴らしさを世に伝えるべく、日夜活動中。

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