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【ソムリエコラム】ワインの賞味期限とは?美味しく飲むための豆知識

皆さんの中には、冷蔵庫や戸棚の奥からだいぶ前に買った、あるいはもらったワインが出てきて、「果たしてこれは飲んでも大丈夫なのだろうか」とか、「賞味期限が切れてはいないだろうか」と迷ってしまった経験をお持ちの方もいらっしゃる …

お酒を選ぶ ワイン
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皆さんの中には、冷蔵庫や戸棚の奥からだいぶ前に買った、あるいはもらったワインが出てきて、「果たしてこれは飲んでも大丈夫なのだろうか」とか、「賞味期限が切れてはいないだろうか」と迷ってしまった経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「ワインの賞味期限はいつなのだろう」

そう思ってワインのボトルやラベルを見ても、どこにも賞味期限の表示は見当たりません。それはつまり、”ワインには賞味期限がない”ということに他ならないのです。

ワインには賞味期限がない?


ワインは他の食品や飲料のように、腐ることがありません。また、長期保存も可能であり、その性質上、食品衛生法で定められている賞味期限の概念とは一致しない部分が多いため、賞味期限の表示がなされないのです。

ワインによっては、長期熟成に耐えられる商品もたくさんあります。「〇〇の何年もの」のように、高級ワインの長期熟成商品が高値で取引されている光景を見たことがある人も多いと思います。

商品によっては、10年以上。更に100年以上の熟成も可能なワインも珍しくはないのです。

ラベルに書かれている年数は?

ワインのラベルには「2020年」「2018年」など年数が書かれているものが多いですよね。これは、「ヴィンテージ」と呼ばれるもので、そのワインに使われているぶどうの収穫年のこと。

「2017年」と書かれていれば、2017年に収穫されたぶどうを用いてワインが作られています。

ラベルに年数が書かれていないのは、いわゆる「ノンヴィンテージ」。複数の年代のぶどうを混合して作っているワインの場合には、この年数が書かれていないということになります。

賞味期限はないけど飲み頃はある!

しかし、賞味期限がないからと言って、永久にその風味が保たれるわけではありません。もちろんワインも劣化しますし「飲み頃を過ぎてしまったワイン」も存在するのです。

なお、お店で売られているほとんどのワインは、そのほとんどが飲み頃を迎えたワインです。その飲み頃がいつまで続くかは、ワインのタイプによって大きく異なります。

飲み頃の目安

飲み頃は、値段感や種類によって大きく変わってきます。

例えば、コンビニやスーパー等で購入するような比較的リーズナブルなワインの。こういったワインは、多くの場合「購入してすぐが飲み頃」といった状態で店に並んでいます。熟成に耐えうるような作りになっていない事がほとんどなので、「飲む時に買う」ようなデイリーワインのようなイメージで向き合うといいでしょう。

その他のワインに関して、飲み頃が続く期間の目安としては、白ワインやロゼワイン関しては軽めのものであれば1~2年、コクのあるタイプのものであれば3~10年とされています。また、赤ワインに関しては、ボージョレ・ヌーヴォーは半年、フレッシュなタイプのものは2~3年、長期熟成型のものは数十年にも及ぶのです。

もし飲み頃がいつまで続くかわからないようであれば、いつ頃までに飲んだら良いのか、ワインを買ったお店の人に聞いてみるのもひとつの手です。

ワインの保管環境

ただし、この目安の期間は、あくまでも保存状態の良い場合に限って言えることで、セラーや冷暗所など、ワインの保存に適した場所での保存ができないようであれば、いずれにしても早めに飲んでしまった方がいいでしょう。

なお、一般的なご家庭の冷蔵庫でのワインの長期保存はお薦めできません。というのも、ワインの保存に適した温度は15度前後であるのに対し、冷蔵庫の中の温度は5度前後と、ワインにとっては低すぎる上に、十分な湿度もありません。意図を持ってワインを保存する際は、やはり専用のセラーを用意した方がいいでしょう。

飲み頃を過ぎてしまうとどうなるか?

ワインは飲み頃を過ぎてしまうと、酸化が進んでしまうため、鼻にさすようなツンとした香りが生じ、味わいに関しても酸味が強烈になってしまいます。また、熟成も進むことにより、赤ワイン・白ワイン共に褐色のような色合いへと変化するのです。見た目に関しても、皆さんが想像するようないわゆるワインの色ではなくなってしまうでしょう。

開封済みのワインに関して

なお、開封済のワインについては、一度空気に触れてしまっているので、より酸化が進みやすくなります。開封したワインは、コルクや専用のストッパーで蓋をすれば、冷蔵庫で数日~1週間程度もちますが、早めに飲んでしまうに越したことはありません。

特に、スパークリングワインに関しては、泡が消えてしまうので、2~3日以内に消費してしまうことをお勧めします

もしも飲み頃が過ぎてしまったワインがあれば、料理酒として活用すると良いでしょう。煮込みなどに使ってしまえば、見た目や風味の変化も気になりません。

ワインの飲み頃を意識して、最も美味しい状態で味わおう


どんなに素晴らしいワインでも、飲み頃を逸してしまうと、その香りや味わいが損なわれてしまいます。また、たとえ飲み頃であったも、保管状態が悪ければ、ワインの劣化の要因となります。
ワインにとって適切な環境で保管して、そして適切なタイミングで飲むことによって、そのワインの持つ最高のパフォーマンスを引き出すことができるのです。

なかなかご家庭では難しいかもしれませんが、ぜひこのことを意識して、最も美味しい状態のワインを味わってくださいね。

《石関華子》

石関華子

埼玉県出身、高知県在住。一児の母。 ㈱三越(現:㈱三越伊勢丹)日本橋本店の洋酒担当を経て、2016年、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの資格を取得。 現在は高知県内のワイナリーのアドバイザーやワイン検定の講師を務める一方、ワインに関連する記事やコラム等の執筆も多数手がけている。 2019年、日本ソムリエ協会高知支部副支部長に就任。

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