いちばん身近な呑み仲間

世界5大ウイスキーの1つ!「アイリッシュウイスキー」の歴史を徹底解説

今回は、世界5大ウイスキー(スコッチ・アイリッシュ・アメリカン・カナディアン・ジャパニーズ)に数えられ、長い歴史を持つアイリッシュウイスキーについて紹介します。 アイリッシュウイスキーは、かつて世界一の生産量を誇ったもの …

お酒を選ぶ ウイスキー
22222-52
  • 22222-52
  • 世界5大ウイスキーの1つ!「アイリッシュウイスキー」の歴史を徹底解説
  • 世界5大ウイスキーの1つ!「アイリッシュウイスキー」の歴史を徹底解説
  • 世界5大ウイスキーの1つ!「アイリッシュウイスキー」の歴史を徹底解説

今回は、世界5大ウイスキー(スコッチ・アイリッシュ・アメリカン・カナディアン・ジャパニーズ)に数えられ、長い歴史を持つアイリッシュウイスキーについて紹介します。

アイリッシュウイスキーは、かつて世界一の生産量を誇ったものの、ほぼ全ての蒸留所が操業を停止するほどまでに衰退。そして近年、華麗に復活を果たし世界の注目を集めています。

衰退と復活の裏にはどのような背景があるのでしょうか?アイリッシュウイスキーの歴史と代表的な銘柄に迫ります!

「アイリッシュウイスキー」とは?


アイリッシュウイスキーは名前の通り、アイルランドで造られるウイスキーのことを指しますが、この"アイルランド"には国名としてではなく、アイルランド島全域が含まれています。

アイルランド島は、イギリス領北アイルランドと南部のアイルランド共和国に分かれていますが、ウイスキーはアイリッシュウイスキーとして統一されています。

アイリッシュウイスキーの定義と特徴

アイリッシュウイスキーには、大まかに捉えると下記5つの法的な定義があります。

  1. 穀物類を原料とする。
  2. 麦芽に含まれる酵素により糖化し、酵母の働きによって発酵させている。
  3. 蒸留時にアルコール度数は94.8度以下である。
  4. 木製樽に詰める。
  5. アイルランド共和国、または北アイルランドの倉庫で3年以上熟成させる。

こうした条件に加え、アイリッシュウイスキーの伝統的な特徴として

  1. モルト(大麦麦芽)と未発芽麦芽、そのほかの穀物を加え、大きなポットスチル(単式蒸溜器)で3回蒸溜させている。
  2. 原料をピート(泥炭)で燻製しない。

などが挙げられます。

アイリッシュウイスキーは、大別すると、ピュアポットスティルウイスキー・モルトウイスキー・グレーンウイスキー・ブレンデッドウイスキーの4種類の形態に分かれています。
このうちピュアポットスティルウイスキーはアイリッシュ・ウイスキーだけに見られる形態です。
そしてこのピュアポットスティルウイスキーこそが、原料には“モルトにした大麦と未発酵の大麦やオート麦などを配合"したものを使い、単式蒸留器で3回蒸留を行うというアイリッシュウイスキーを代表する特徴を満たしています。

これらの製法による、雑味が少なくなめらかで穏やかな味わいが、アイリッシュウイスキーの特徴です。

「アイリッシュウイスキー」の歴史


全盛期

アイリッシュウイスキーが全盛だったのは18世紀頃だと言われ、この時代にはアイルランド全域に何百という蒸溜所が存在していました。

生産量でもスコッチウイスキーを上回り、世界のウイスキー市場のシェア6割を占めていたと言われているほど。

特にウイスキー造りが盛んだったのは、現在のアイルランド共和国の首都"ダブリン"。この街のリフィー川の左岸にある、ボウストリートという通りでは、1757年にトーマス・ストリート蒸溜所」が創業しています。

さらに、18世紀末「ボウストリート蒸溜所」「ジョンズレーン蒸溜所」「マローボーンレーン蒸溜所」という大型蒸溜所が次々と建てられ、これら4つの蒸留所は「ダブリンビッグ4」と呼ばれていました。

当時、スコッチウイスキーの蒸溜所の生産量が、平均年間数万~数十万リットルなのに対し、「ジョンズレーン蒸溜所」の年間生産量が約450万リットル以上という記録があることからも、いかにアイリッシュウイスキーが全盛だったか伺えますね。

衰退期

そんなアイリッシュウイスキーの衰退の原因は、二度の世界大戦、イギリスからの独立戦争、主な輸出先であったアメリカの禁酒法、飲みやすいブレンデッドを主体としたスコッチウイスキーの普及など、様々な要因が挙げられます。

特に、二度の世界大戦とアメリカの禁酒法の影響は、他のあらゆるウイスキーでも衰退の原因として挙げられる出来事でした。

これらが重なったことにより、アイリッシュウイスキーの蒸留所は次々と操業を停止。1974年には「ジョンズレーン蒸溜所」が閉鎖し、それを最後にダブリンの蒸留所は全て停止しました。

アイリッシュウイスキーの衰退期である1920年代になると、アイルランドで稼働しているのは「ブッシュミルズ蒸溜所」と「ミドルトン蒸溜所」の2つだけとなってしまいます。

復活

ブッシュミルズ蒸溜所」と「ミドルトン蒸溜所」は、閉鎖された蒸溜所から引き継いだ銘柄も含めてアイリッシュウイスキーを販売。その伝統を守り続けました。

そして、守られた伝統は20世紀後半から続々と復活していきます。1987年に「クーリー蒸溜所」が誕生。2014年に「タラモア蒸溜所」、2017年に「ティーリング蒸溜所」が復活したのです。

新進気鋭の蒸留所の誕生、そして歴史ある蒸留所の復活は、世界中のウイスキー愛好家を惹きつけるニュースとなりました。
そして現在、アイリッシュウイスキーの生産量は順調に回復していると言われており、実際、蒸留所の数は計画中のものも含むと約40にも及びます。

復活に大きく貢献したシングルポットスチル

また、アイリッシュウイスキーが近年再び脚光を浴びるようになった要因の一つとして、アイリッシュウイスキーの伝統である「シングルポットスチル」への回帰が挙げられています。

シングルポットスチルとは、大型のポットスチル(単式蒸溜器)で3回蒸溜する製造法。

なぜ3回蒸留するかというと、単式蒸溜では一度の蒸溜でアルコール度数の高いウイスキーが造れないため、3度にわたり蒸溜を繰り返し、アルコール度数を高める必要があるから。

近代的な連続蒸溜と比べると効率が悪いですが、この3度の蒸留により、なめらかで穏やかな味わいと独特でオイリーなフレーバーが生まれます。

蒸留技術が発達した現在。昔ながらのシングルポットスチルだからこそ生まれる味わいが、近年、北米を中心に注目を集めているのです。

アイリッシュウイスキーが復活し、注目を浴びる現状は「アイリッシュ・ルネッサンス」と言われています。

「アイリッシュウイスキー」のオススメ銘柄

ブッシュミルズ

現在操業中のアイリッシュウイスキー蒸溜所の中で最古の歴史を持つと言われるブッシュミルズ創業は、1608年と言われています。そんな同蒸留所のスタンダード商品であり、アイリッシュウイスキー伝統の3回蒸溜で造られた一本です。

アイリッシュウイスキーで一般的に使用される未発芽の麦は使用せず、ノンピート麦芽100%のモルト原酒にこだわっているのも特徴。これらのこだわりにより、スムースな口当たりとフレッシュな果実の様な味わいに仕上がっています。

created byRinker
ブッシュミルズ
¥3,930 (2022/04/24 11:13:20時点Amazon調べ-詳細)

ジェムソン スタンダード

世界中でウイスキー愛好家を虜にしているアイリッシュウイスキー ジェムソン。

その中でも「ジェムソン スタンダード」は、2017年のISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)で金賞を受賞したお墨付きのウイスキーです。

製法には伝統の3回蒸留を採用。そして原料には、ピートを使わず密閉炉でじっくり乾燥させた大麦を使用しています。

香ばしくまろやか、そして微かなシェリーの香り、スパイシー、ナッツ、バニラのニュアンスと、シェリーの甘味が滑らかな味わいを引き立てます。余韻は非常にスムースな一本。

カネマラ

クーリー蒸溜所が送り出す新進気鋭の蒸留所ならではの独特な仕上がりであり、ピートの採掘場所であった「カネマラ」を名を持つ一本です。

同商品は、ピートならではのスモーキーさと、アイリッシュならではのマイルドさを兼ね備えています。

スモーキーでありながら新鮮なフルーツを思わせる香り、ハチミツやバニラ、チョコレートを感じさせる味わい、ドライかつ涼やかでスパイシーな余韻をお楽しみください。

created byRinker
CONNEMARA(カネマラ)
¥3,820 (2022/04/24 11:13:21時点Amazon調べ-詳細)

まとめ

二度の世界大戦やアメリカの禁酒法など、抗えない歴史の波により、一時は姿を消しかけたアイリッシュウイスキー。しかし、その伝統は守られ続け、近年は華麗な復活を遂げました。

そんな、ウイスキーが辿ってきた長い歴史を感じさせるアイリッシュウイスキーをぜひ皆さんも楽しんでくださいね。

《ワキヤ》

ワキヤ

日本酒を愛する元バンドマン。趣味は昼から飲むはしご酒。よく千住で一人酒してます。

+ 続きを読む

特集

page top