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意外と知らない豆知識!ウイスキーの個性を決定づける”樽熟成”の秘密

ウイスキーを生産する場所を訪れると、あちらこちらで「樽」を見かけることができます。ウイスキー樽、などと呼ばれているように、ウイスキーと樽は切っても切れない関係にあるのでです。 なぜウイスキーは樽で熟成させる必要があるので …

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ウイスキーを生産する場所を訪れると、あちらこちらで「樽」を見かけることができます。ウイスキー樽、などと呼ばれているように、ウイスキーと樽は切っても切れない関係にあるのでです。

なぜウイスキーは樽で熟成させる必要があるのでしょうか。また、そもそも樽熟成とは一体どのような工程なのでしょうか。今回は、「ウイスキーの樽熟成」についてご紹介していきます。

樽熟成の歴史


樽熟成とは、樽の中でウイスキーを保存し、時間とともに酒質を良い方向へ変化させていくお酒造りの過程です。

その昔、ウイスキーは樽熟成を行わない、透明のお酒でした。樽熟成が始まったのは、18世紀のスコットランドだと言われています。当時、非常に高い税金が課せられていたウイスキー。高額の税金に苦しんだ当時の醸造家たちは、税金から逃れるため政府の目につかない、人里離れた山中に製造所を造ったそうです。そこで出来上がったウイスキーは、人目につかないよう、樽に詰め込まれて保管されていました。

樽保存で発生したマジック

隠しておいたウイスキーを開封して、人々は驚きました。なんと、透明だったはずのウイスキーが美しい琥珀色に変化していたのです。見た目だけではなく、香り味わいも大きく変化し、樽に入れる前よりもまろやかで美味しいウイスキーになっていました。樽で保存しているうちに、樽由来の成分が滲み出し、ほど良い酸化反応が進んだのでしょう。

当時の製造者たちは、この熟成反応に驚き、歓喜しながらウイスキーを楽しんだのだとか。それ以降、ウイスキーは樽で保存することを基本とするようになったそうです。

ウイスキーに使われる樽の種類


ウイスキー樽と一言で言っても、実は様々な種類が存在しています。ウイスキーは、どの種類の樽で、どの大きさの樽で、どのくらいの期間で…と、マトリックスのように樽の使い方一つで酒質が大きく変化するのです。

容量の違い

ウイスキーの熟成に使用されている樽は、その容量で名前が変わります。

・バレル 180~200ℓ

・ホグスヘッド 250ℓ

・パンチョン 500ℓ

・バット 500ℓ

などが代表的なものです。

材質の違い

また、樽に使われる材質も様々。以下が、ウイスキー熟成で使用される代表的な樽の種類です。

・内面をチャーリング(焦がす)処理されたバーボン樽

・シェリーを熟成した際に使用されたシェリー樽

・ワインの熟成に使用されたワイン樽

基本的にはアメリカンオークが多く使用されていますが、原酒によってはフレンチオークが使われたりします。

ジャパニーズウイスキーの一部は、白檀の香りが特徴的なミズナラ樽が使用されるなど、一言でウイスキー樽と言っても実に様々な種類のものがあるというわけです!

樽熟成がウイスキーに与える影響


樽熟成によって、味わいがまろやかになる。何となく想像ができる作用ですが、実際に樽内では事象があるのでしょうか。

ウイスキーは、蒸留されたばかりの状態は無色透明の蒸留酒です。樽に入れることにより、樽由来のフェノールなどの化学成分が溶け出し、それがウイスキーの液体内に存在している成分と反応を起こします。また、樽は密閉空間でありながら、微量の酸素を透過させています。

酸素に触れることで、良い方向に酸化作用が起こり、色合いなどにも影響を与えます。これら、樽由来の作用があることで、ウイスキーがあのウイスキーらしい味、香り、外観になるわけです。

まとめ

ウイスキーは蒸留酒であることから、長年の保存が可能です。そのため、さまざまなウイスキー樽で熟成された原酒が各蒸留所には残されており、それらをブレンドさせ、ひとつの個性へとまとめます。

マスターブレンダーなど、調合するプロがメーカーには必ず存在しており、幾多という樽熟成を経た原酒の個性を見つけ出し、それらを絶妙な配合でブレンドします。長い歴史を持っている蒸留所のウイスキーが重宝されるのは、長年樽熟成されている原酒が多いからなのです。

普段、飲んでいるウイスキーの中には、さまざまな樽で熟成されたウイスキーがブレンドされているだけでなく、その長い歴史も溶け込んでいます。今後、樽熟成を意識しながら、ウイスキーを選んでみてはいかがでしょうか。

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《鈴木 將央》

鈴木 將央

日本唯一の利酒師エンジニア。「日本酒は難しい」「お酒のウンチクは嫌だ」という方でも、楽しく読んでいただけるようなライティングを心掛けてます。

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