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”超”辛口からスパークリング日本酒まで!宮城の銘酒「一ノ蔵」の魅力とは?

株式会社一ノ蔵は、複数の酒蔵が合同し、あえて個の歴史を捨てることで誕生した酒蔵。 手作りにこだわった酒造りを行うとともに、「すず音」というスパークリング日本酒や、低アルコールの日本酒など、現代人のニーズにあった日本酒造り …

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株式会社一ノ蔵は、複数の酒蔵が合同し、あえて個の歴史を捨てることで誕生した酒蔵。
手作りにこだわった酒造りを行うとともに、「すず音」というスパークリング日本酒や、低アルコールの日本酒など、現代人のニーズにあった日本酒造りにも積極的な蔵です。

伝統や歴史に重きがおかれる日本酒造り。蔵の歴史や、造ってきた銘柄を守ることは大切なことです。

今回はそんな酒蔵の歴史とともに、「一ノ蔵」の魅力についてご紹介していきます。

一ノ蔵ってどんなお酒?おいしさの秘訣は?


一ノ蔵で最も有名な銘柄といえば「一ノ蔵無鑑査本醸造辛口」です。

少々アルコールを感じる香りで、酸味や渋みを感じる人もいます。旨みがありながら、酒質は水の様にすっきりしているのが特徴です。辛口以外にも「甘口」や「超辛口」もあり、飲み比べて楽しんでいるファンも多く、一ノ蔵を代表するシリーズです。

「無鑑査本醸造」などの醸造酒にとどまらず、よく磨いた米を低温でじっくり時間をかけて仕込む吟醸酒や、豊醇でまろやかな味の純米酒など、さまざまな造りや味わいのお酒を造っています。

最近では、スパークリング清酒「すず音」を飲んだことがある方も多いのではないでしょうか。加えて低アルコールの「ひめぜん」など、近年の日本酒のニーズに応えるお酒が多数販売されているのも特徴です。

おいしい米ときれいな水

宮城といえば日本有数の米の産地。一ノ蔵の酒は、主原料である米のほとんどに宮城県産米を使用しています。なんと、商品によって10種類以上の米を使い分けているそうです。

また一ノ蔵では、大松沢丘陵地の地下水を処理して使用しています。この水は無色透明、異臭味がない、中性または微アルカリ性という酒造りに適した条件を備えた仕込み水として、一ノ蔵の味わいに深く影響しています。

「最新機器・設備の導入」と「手作り」へのこだわり

一ノ蔵は、最新の機器や設備の導入に積極的です。蔵の統合時に最先端の新工場を建設し、大崎市松山に建つ本社蔵には、清潔でゆとりのあるスペースに最新の酒造機器が導入されています。こうした設備投資により、現在の多彩な製品の開発・生産や、年間1万9千石(一升瓶換算:190万本分)*もの酒の生産を可能にしています。
※平成20年時点

設備を備える一方、創業時に掲げた「手づくりの仕込みによる高品質の酒造り」を忠実に守り続けているのも特徴です。機械に頼るのではなく、基本的にはすべて「人」が造っています。人の五感をフルに使って香りを嗅ぐ、手で触る、舌で味わうといった経験を生かして造る方が、結果的に効率が良く、美味しい酒が出来るという考えからなんだそうです。

一ノ蔵酒蔵ってどんな蔵なの?


一ノ蔵は、宮城県大崎市にある蔵です。一ノ蔵が誕生したのは、高度経済成長とともに日本酒消費量が増え、オイルショックの1973年にピークに達した時代。

この年は米の自由化が始まり、米の共有割り当ての縛りがなくなった年でもあります。大手のメーカーはブランド力を生かし、こぞって日本酒の生産・販売の全国展開を始めます。一方で、大手ではない東北の酒造メーカー各社は、大打撃を受けたのです。

1973年、松本酒造店の社長の松本氏の呼び掛けで、宮城県の酒蔵4社は経営統合しました。それぞれの酒蔵は蔵の歴史や自身の銘柄などを守ってきたのでしょうから、ともに日本酒を造っていくのは、相当な覚悟が必要だったことでしょう。

初代社長の松本氏は、各蔵元の若き代表4人に「家族ぐるみでつき合い、喜びも悲しみも分かち合あおう。」「力を合わせて新しい蔵を作り、できるだけ手づくりの仕込みを残した高品質の酒を造ってほしい。」と願いを託したそうです。

階級制度への挑戦

こうして誕生した一ノ蔵。手作りに徹底的にこだわり、1977年、当時の日本酒の級別制度に挑戦する商品「一ノ蔵 無鑑査本醸造辛口」を発売しました。

当時、清酒には級が設けられていて、高い等級のものには高い税金が課せられていました。その級の判断基準というは、「酒類審議会の審査により国税庁が認定する」というもので、酒類審議会による曖昧な判断によるものでした。

一ノ蔵はあえてこの鑑査に申請せず、品質の優良な本醸造清酒を、なんと税金の安い点をアピールした、二級酒として売り出しました。「本当に鑑定されるのはお客様自身です」とラベルに明示し、級別制度への問題提起をしたのです。

この「一ノ蔵 無鑑査本醸造辛口」が大ヒットし、現在でも一ノ蔵の看板商品となっています。

新しい日本酒への挑戦

本醸造酒がヒットした一ノ蔵ですが、近年のラインナップは多様です。特に注目すべきなのは、シャンパンのように細かな泡が立ち上る「すず音」や、アルコール分が一般の清酒の約半分である「ひめぜん」です。

これらは酒造りの伝統の技を応用して造る、新しいタイプの清酒です。従来の日本酒にこだわるのではなく、現代人の嗜好にあった日本酒を造っていく。かつて級別制度に挑戦したように、新しい日本酒造りに取り組むという積極的な姿勢も、一ノ蔵の魅力になっています。

おすすめの銘柄をご紹介

日本酒「一ノ蔵」誕生の経緯を知っていただけたでしょうか。ここからは多彩な一ノ蔵のラインナップの中から、人気のある銘柄や注目の銘柄をご紹介いたします。

一ノ蔵 無鑑査本醸造 超辛口

ロングセラー商品である「一ノ蔵無鑑査本醸造」。その”超”辛口である商品がこちらです。日本酒度はなんと+9~+10(+が大きいほど辛口)!爽やかな香りでスッキリ飲めるお酒です。少し苦味のあるドライな味わいで、凛とした余韻が残ります。辛口好きな方は挑戦してみてはいかがでしょう。

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一ノ蔵 無鑑査本醸造 甘口

一方のこちらは日本酒度-5~-3の”甘口”です。甘口とはいえベタベタした感じはなく、軽快な甘味が楽しめます。喉越しもさらりと爽やか。お燗にしても美味しく飲めるお酒です。さらにイギリス・ロンドンで行われた「インターナショナル ワイン チャレンジ SAKE部門」の「本醸造酒の部」でトロフィーを受賞している実力派ながら、コストパフォーマンスに優れているのも嬉しいところ。

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すず音

こちらは最近流行りのスパークリング清酒。名前の由来は、グラスに注いだ時の発砲音が、鈴の音を奏でているようであったことから。シャンパンのように瓶内発酵によって生まれた自然の炭酸ガスなので、優しくはじける泡が特徴です。お米の優しい味わいや、柔らかな甘酸っぱさを感じます。

普段日本酒をあまり飲まない人や、女性にも飲みやすいお酒です。カクテルベースやデザート酒としても使えるそうで、新しい日本酒の楽しみ方が広りそうですね。

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ひめぜん

アルコール8%という低アルコールかつ、日本酒度-70~-60の超甘口な清酒です。酸味がきいているため飲みやすく、この甘酸っぱさが持ち味になっています。加水による調整ではなく、アルコール分8%の原酒というのが驚きです。意外なことに、冷やすだけでなく熱燗でも美味しく飲むことができます。

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さいごに

4つの酒蔵の合同によって誕生した一ノ蔵。力を合わせて造り出されたお酒からは、丹精のこもった味が感じられます。

甘口から超辛口、本醸造や大吟醸、スパークリング清酒や低アルコール清酒と、実に多種多様な味わいや造りの日本酒を造ってきた酒蔵は、これからどんなお酒を産み出してくれるのでしょうか。

日本酒業界を牽引してくれるであろう一ノ蔵の、今後の動きにも大注目ですね!

《なっさん》

なっさん

元公務員の駆け出しライター。飲むとベラベラ喋るらしいが、本人は覚えていない。飲み会よりも一人で立ち飲みに行くのが好き。

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