TOP / 特集 / コラム / SAKEで人をつなぎたい! 私が中国で「日本酒普及」を行う理由。

親族が酒蔵を経営していることから日本酒に興味を持ち、現在は中国での日本酒普及に取り組んでいる三宅さん。日本酒を海外で広めていこうと考えた背景とはどのようなものだったのか。また、日本酒を広めていく過程で気づいた、日本酒の新たな価値とは何だったのでしょうか?

いつかは日本酒に関わってみたいな

広島県の呉市で生まれ育ちました。昔から人の気持ちを考えることが好きで、先頭を切って何かを行うことも多かったので、小中高ではずっと野球部でキャプテンを務めていました。

また、親族が酒蔵だったということもあり、父からはよく、野球の練習に車で向かうときに、日本酒のことについて聞かされていました。

そういったこともあって、ごく自然な流れで、日本酒に対して興味をもつようになっていきました。大学入学前、一年浪人をした際に、予備校の恩師から言われた、「中国がこれからはおもしろい」という言葉が頭に残っていましたね。

上海は面白い!

大学に入ってからは、よく図書館に通っていました。そこでは様々な本や資料を読んでいたのですが、日本酒に興味があったこともあって、関連する資料はよく目を通していました。そこで、中国では日本酒市場の成長率が一番高くなる可能性がある、ということが書かれた資料を見つけ、俄然中国に興味を持つようになったんです。

その後、中国への交換留学の募集があり、真っ先に応募しました。そして、実際に上海での生活がスタートしたのですが、「上海は面白い!」ということを実感しました。まず感じたのは、上海の人たちの向上心の高さです。一人ひとりが、すごく成長しようとしてるのを感じ、その姿にすごく惹かれました。また、中国そのものが右肩上がりで成長しているとも感じました。例えば日本だと既に価値があるものに対して、その価値をどう高めていくかというところが重要とされます。

しかし、中国は成長途中であるため、小さな価値を一つずつ高めていくというよりも、今までになかった価値を一気に伸ばしていくことが重要になってきます。そういった、中国のダイナミズムといったところにも興味を惹かれましたね。

日本での大学時代には、日中交流の団体も立ち上げました。そこでは、良いコンセプトがあり、良い仲間が集まってくれれば、自分の力だけでは到底成し遂げられないことができる、ということを感じましたね。三人で立ち上げた団体が、数百人規模で仲間が増えていくといったような、自分一人では想像もしていなったようなことを、成し遂げることができたんです。その後にもつながる経験となりました。

SAKEを通してのコミュニケーション

その後、大学卒業と同時に中国へ渡り、現地の日本酒販売会社、広告会社、ビール会社での修業を経て、中国で日本酒を広めるための会社を立ち上げました。

実際に中国人に日本酒の感想を聞いたところ、返ってきた言葉は「味が薄い、水みたい」でした。中国の食事は辛いモノが多く、日本人の味覚とは異なることを痛感したんです。

中国人に馴染み深いお酒といえば紹興酒や白酒で、はっきりと味がわかるようなお酒ですし、普段から味の濃いものになれている中国人からすると、味が薄いというのも理解できる話でした。

また、中国人に「これは吟醸酒だ」と伝えても、興味を持ちませんでした。そもそも日本酒に興味が無い人が圧倒的に多かったんです。

日本酒を造る上で伝統を守り、味を変えずに守っていくことが重要でありながらも、市場を知り、現地の人々に合ったようなお酒を造り、提供していくことも同じように重要であることに気付かされました。

それと同時に、酒を楽しむ環境というのも酒の美味しさに関わってくる要素だと感じました。一人でお酒を飲むよりも、複数の友人とお酒を飲むほうが楽しいですよね。実際に、中国人と交流する際も、お酒を通して交流した時のほうが、スムーズにコミュニケーションが取れるんです。

これはお酒のもつ力だと思いましたね。

人と人とを繋ぎたい

現在の日本には、全国各地に様々な酒蔵が存在します。本来ならば、全国各地にある酒蔵の特色を活かせば、それぞれの個性が強くでた日本酒を造ることができます。

しかし今の日本酒は、他の酒蔵が造った日本酒と似たような商品が出まわってしまっています。私は、酒蔵それぞれの個性やその土地の特徴を引き出した、海外の人も興味を持つような日本酒をもっと世に広めていきたいんです。日本全国の酒蔵が、世界で勝負できるSAKEをつくって欲しいんですよね。そのために、OneTankプロジェクトという活動を行っています。

サッカーチームが有名になるとそのサッカーチームの本拠地が活気づくように、地元の酒蔵が日本へ、世界へ広まることによって、日本の各地域を活性化していきたいと考えているんです。

また、お酒でコミュニケーションがスムーズに進んだ経験から、「SAKEを通したコミュニケーションをもっと広げていきたい!」という考えのもと、SAKEasOne清酒匯という、SAKEを通したコミュニティづくりの活動も並行して行っています。

具体的には、日本酒を起点としたコミュニティづくりを進めています。はじめは上海だけの日本酒コミュニティでしたが、最近では東京でも開催しています。上海でも東京でも自分達がSAKEでつくる空間を楽しんでくれるか緊張しますね。ですがやはりその時も、お酒のもつコミュニケーションの促進力のようなものに助けられています。

上海のコミュニティは少しずつですが広まっていて、昨年は上海で合計1000人の参加者が集まりました。そのコミュニティを運営していく中で、コミュニティ内の中国人と日本人がSAKEで繋がる様子を見て、「東京でも、日本人と外国人が繋がるきっかけにしたい」と考えたのが、東京開催のきっかけです。各地の日本酒を海外に広めることによって、人と人、日本と世界を繋ぎたいんです。

自分が酒蔵と関わりがある環境で生まれ、日本酒が自分のアイデンティティであるように、日本酒を世界と関わる日本人一人ひとりのアイデンティティにしてほしい。日本に関わる中国人はじめ外国人にSAKEを通じて日本各地に興味を持ってもらい、好きになってほしい。これが私の想いです。

記事提供元:SAKEで人をつなぎたい!私が中国で「日本酒普及」を行う理由。